奇跡の脳
ジル・ボルト・テイラー 竹内 薫
アメリカで50万部の大ベストセラーとなった話題作。NHK BSハイビジョンで、2009年3月24日と4月2日、ハイビジョン特集「復活した“脳の力”~テイラー博士からのメッセージ」という番組も放映され話題となった。本書を一言で紹介するとしたら「脳卒中からの復活記」である。ただし、脳卒中から復活した著者のジル・ボルト・テイラーさんは脳解剖学者(神経解剖学者)だったという点が、より読者の興味をそそる。
脳の専門家が脳卒中になったら、どう感じ、どう復活していくのか、脳卒中の回復には何が必要なのかが、専門家として培った脳に対する知識と脳卒中患者当事者の両視点から書かれている。本書はおおまかに、脳卒中になる前の人生、そして脳卒中になったときの状況、脳卒中からいかに回復して神経解剖学者として復活したか、そして脳卒中が脳について教えてくれたことの4つの話の内容に分けられる。「脳卒中の体験から多くのものを学んだせいか、なんだかこの旅が幸運だったと感じるようになりました」(P.214)とあるように、全編決して悲観的な内容ではなく、自分や身内が脳卒中になっても本書を読んでいれば、脳の再生へ向けて希望を持つことができるように思えてくる。すべての人たちに読んでほしい1冊。
2009年2月25日刊
(田口 久美子)
出版元:新潮社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:脳 脳卒中
カテゴリ 身体
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