感じる力でからだが変わる 新しい姿勢のルール
メアリー・ボンド 椎名 亜希子
従来のアライメントに留まらず、感覚とも関連づけた新しいルール(定義)に基づく身体の取扱説明書である。著者も訳者もロルフィングを学んでいるが、筋膜へのアプローチ理論を並べるのではなく、呼吸を始めとした自分自身で感じられるものをキーにエクササイズを紹介していく。
エクササイズといっても腹筋を10回3セット、のようなものではなく、1人1人違う姿勢や動作の癖をまず意識させ、それを解消し安定させるべくじっくりと身体と向き合うものだ。ある人物の身体が変わっていく様を小説のようにして挟んでいるのも、イメージしやすい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:春秋社
(掲載日:2016-03-10)
タグ:姿勢 エクササイズ
カテゴリ 運動実践
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感じる力でからだが変わる 新しい姿勢のルール
メアリー・ボンド 椎名 亜希子
機械と違って人の身体は融通が利きます。配線一本、部品一つの故障や欠落でも動かなくなることもある機械に対し、人の身体はそれなりに動いてくれます。それだけ一つの動きに対しても様々な部位や組織が働くことにより、多重にサポートすることが多々あります。
逆に身体をうまく機能させることができなくてもそこそこ動いてくれるので、問題意識がないまま何年も何十年も好ましくない動きや姿勢を続けてしまうことにより、関節や組織に負担をかけ疼痛を伴う機能障害を起こすことが少なくありません。
「正しい身体の使い方」とか急に言われてもたいていの方は戸惑われることでしょう。人は目的の動きは意識できても、個々の身体の使い方なんて意識したことがありませんので、何が正しくて何が間違っているかを知らなくて自分の身体を使っているのです。
本書は自分で気づかなかった自分の身体を知るための問題提起をしてくれます。人の身体について、解剖生理学では便宜上個々のパーツを学びますが、それぞれの組織のつながりを解き明かすことで身体の機能的な使い方を示しています。
著者の意図するところは、ご自身の知識をそのまま読者に与えるのではなく、様々なエクササイズを通じて読者が自分自身でそれを感じることを促します。なぜならば知識として知っているだけでは意味がなく、あくまでも体験することで実際に正しい身体の使い方に近づくことができるからです。
ここで紹介されるエクササイズは決して目新しいものではありません。ヨガやピラティスなどで行われるものが多くあります。筆者自身もヨガやピラティスを勧めています。
ただ何も考えることなくそういったエクササイズを行うのではなく、そういったものにどういう意味や目的があることを示している点が本書のもっとも優れたところだと思います。何も考えることなく言われた動きをしているだけでは身体を感じるという一番重要なポイントが抜けるからです。意識を身体の内側に向けて普段何気なく動かしている身体がどう動いているかを意識する習慣づけこそが、将来襲ってくるかもしれない身体の機能障害を未然に防ぐ近道だと思うからです。
ヨガなどをなさっている方は大勢いらっしゃるでしょうが、動きの意味や目的まで考えている方はそんなには多くないでしょう。
『感じる力でからだが変わる』というタイトルは、エクササイズをしたから変わるのではなく、「感じる力」を身につけた人こそ身体を変えることができるという筆者のメッセージそのものなんだと確信しました。
今まで感じたことのなかった身体のつながりを体感できたことは、私にとって大きな収穫でした。
(辻田 浩志)
出版元:春秋社
(掲載日:2017-04-22)
タグ:ロルフィング
カテゴリ 身体
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