雌と雄のある世界
三井 恵津子
生物学の本である。著者は、お茶の水女子大理学部科学科から東京大学大学院生物化学専攻の理学博士。ドイツ、アメリカでの研究生活後、サイエンス系出版社で編集記者、編集長を務めた。現在はサイエンスライターである。
ご存じのように、生物学の世界は日進月歩。正確には、分子細胞生物学、分子遺伝学、発生生物学など、どんどん細かくなっていて、一般には新しい発見についていけそうにない。本書は、そういう世界でどこまで研究が進んでいるのか、何がわかってきたのかを、わかりやすく教えてくれる。iPS細胞やクローン技術などトピックも満載。
発展著しい分野だが、わかってくるほどわからないのが生物とのこと。わかっていないことのほうが多い。著者は、この本を書いたとたんに書き直さなければいけないのではないかと記しているが、それくらい新たな発見が続いている。
書名にある「雌と雄」の話も面白いが、こうした発見の概要を知るだけでも楽しい。しかし、つくづく思うのだが、細胞の話はなんと人間の社会全体にあてはまることが多いのか。細胞について考えると、自然と宇宙や命、つまり人生全体へ思いが及ぶ。
2008年10月22日
(清家 輝文)
出版元:集英社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:生物学 生命科学 細胞
カテゴリ 生命科学
CiNii Booksで検索:雌と雄のある世界
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:雌と雄のある世界
e-hon