身体知
内田 樹 三砂 ちづる
内田樹(うちだ・たつる)氏は、フランス現代思想、映画論、武道論を専門とする神戸女学院大学教授。三砂(みさご)ちづるさんは、疫学を専門とする津田塾大学教授。この2人の対談集。副題は『身体が教えてくれること』。帯に「女は出産、男は武道!? 危険や気配を察したり、場の空気を読んだり。身体に向き合うことでもたらされる、そんな『知性』を鍛えよう」とある。
まず、女性の出産の話から始まる。お産のときはエンドルフィンハイの状態になり、産んだ直後はアドレナリンハイになっている。だから、産んですぐお母さんが「ありがとうございました」と冷静になっているのはよい出産ではない。助産婦さんの含蓄に富んだ言葉、助産婦さんと家で出産する意義を考えざるを得ない。
次に武道の話。「武道の場合だと、ほんとうにたいせつなのは、筋力とか骨の強さではなくて、むしろ感度なんです。皮膚の感度じゃなくて、身体の内側におこっている出来事に対する感度。あるいは、接触した瞬間に相手の身体の内側で起きている出来事に対する感度」(P.33の内田氏の発言)
きわめつけが以下のやりとり(P.170より)。
三砂 女性はパンツとかGパンをはいているから股に布がピタッとあたっているのですよ。それを、もう不快だと思わない。
内田 たぶんその部位の感覚がオフになっているんでしょうね。
三砂 主電源がオフになっていると思うのです。
内田 「主電源」ですか。
日常から着物で過ごす三砂さんの感覚のすごさがわかる。興味を持った人は読んで下さい。ソンはしません。
2006年4月24日刊
(清家 輝文)
出版元:バジリコ
(掲載日:2012-10-11)
タグ:身体 感覚 武道
カテゴリ 身体
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オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す
三砂 ちづる
「オニババ」。この衝撃的なタイトルに、“一体どんなことが書かれた本だろう?”と、興味を惹かれた。
本書で言う「オニババ」とは、「女性性(身体性と生殖)から離れていってしまった女性たち」のことを指している。戦後、女性の社会進出が進むにつれ女性たちは、「女性らしさ」、「女性としての生き方」を忘れ、「オニババ化」してきた。本来の女性としてのエネルギーが、今、行き場を失っている。
本書では、女性の体、性、生殖、出産などをメインに、本来の“女性らしさ”とはどのようなもので、それが現代女性にとっていかに重要であるかを問いかけ、改めて「女“性”として生きること」の意味を考えさせられる一冊になっている。
(藤井 歩)
出版元:光文社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:女性
カテゴリ 身体
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