指定管理者制度ハンドブック
地域協働型マネジメント研究会
民間でできることは民間で
「あっ、それって小泉首相のキャッチフレーズでしょ、郵政民営化のときの」
「別に郵政に限らず、これからはいろいろな公共物が民間の手で管理されるようになるけどね」
「公共物!? たとえばどんなもの?」
「うん、たとえば河川とか道路とか、身近なところだと公園、福祉会館や健康センター、体育館や公民館などもそうなるな。昨年、そういった制度が整備されたんだよ」
「へぇー、なんでそうなるの?」
「結局、国に財政的余裕がなくなったことが一番でしょ。だから、余計な経費は削りたい。たとえば、施設のメンテナンス料や人件費などをさ。これらを民間にお願いしたいわけさ」
「とすると、そういった施設を民間に払い下げちゃうわけ?」
「いや、そうじゃない。管理を代行させるんだよ」
「管理の代行ね……。じゃ、今まで国や地方公共団体はどうやって管理してきたの?」
「直営で管理しているところもあるけど、だいたいは第三セクター方式といって民間と地方自治体の共同経営組織が管理をしてたんだ」
「それじゃ、だめなんだ」
「そういうこと。結局経営の見通しが甘すぎて、けっこう破綻する法人が増えてきているんだよ」
「また、国の借金が増えるってことか」
「だから、国は民間の資金とノウハウを積極的に活用していこうと考えるようになったわけだ」
NPOの活動拠点づくり
「でも、民間企業側には公共施設を管理・運営すると何かメリットあるのかな?」
「もちろんだよ。たとえば、公共スポーツ施設の中にはけっこう収益事業として成り立つような立地条件持っているところはたくさんあるんだ。でも、今までは行政の委託条件が窮屈だったり、行政が顧客の志向に基づいたサービスを怠ったりしたもんだから慢性的な赤字経営になってしまったんだな」
「ということは、公共の施設を使って商売できるわけだね」
「商売というよりは民間企業と地方公共団体が協働する、いわゆる公民パートナーシップを結ぶことで、企業側は住民へのコマーシャルやイメージづくりを期待できるし、行政側は住民の持つ多様なニーズに対してもっとも価値あるサービスを提供できることになるね。これは地域活性化にも効果がある。ちなみに、パートナーシップを結べるのは企業だけじゃない。うちのようなNPO法人もオーケーなんだ。この場合は活動拠点づくりにメリットがあるかな」
「そうなんだ。じゃあ、収益事業もできるんでしょう。企業と同じように。そうなると会の運営も楽になるんだけどな」
「大丈夫。利用料金制の導入によって、利用料は直接管理者の収入にできる。だからこそコスト面の効率化やサービスの向上が不可欠なわけ」
「なるほど、ビジネスチャンス到来っていうわけだ。だったら、さっそくうちでもそれやろうよ、その管理代行っていうやつ」
「正確には、指定管理者による公の施設の管理代行というんだ。誰が指定管理者になるかは公募プロポーザル方式によって決まるんだ」
「公募!? そんなの僕らにはやり方全然わからないよ。やっぱり、僕らのような市民団体には応募は無理だな」
「まあ、心配するなって。はい、これ。この本読めば公募のポイントも詳しく書いてあるし、実例も載っているんだ」
「へぇーこの本? 指定管理者制度ハンドブック……か」
(久米 秀作)
出版元:ぎょうせい
(掲載日:2004-12-10)
タグ:指定管理者
カテゴリ その他
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