からだの日本文化
多田 道太郎
『しぐさの日本文化』や『複製芸術論』で知られる著者の「肩のこらない」からだにまつわる日本文化の話。 頭、顔、肩、背中、腹、ヘソ、ウエスト、ヒップ、腰、尻、足の11項目でまとめられている。
例えば、「少し具合の悪いところができると、日本人は何でも『からだ』のせいにする。カナダ人は『精神』のせいにする」(P.38)。だから、日本人は医者やマッサージ師に駆け込み、カナダ人は精神分析のクリニックに向かうと言う。「屁は尻に出て又鼻に逆戻り」というなかなか味わい(?)のある秀句も紹介されている。どこの国の人であろうと、この身体は同じようなもののはずだが、そこに文化が加わると、どうも同じようではない。鼻を高い、低いと日本語では表現するが、例のクレオパトラの鼻については、フランス語では「もしクレオパトラの鼻がもう少し短かったら」と表現されているとか。
しかし、どうしても私たちはこのからだに染みついた文化から離れることは難しい。それなら、他の文化ではどうかを知り、見方を変えてみるのも、からだによいかもしれない。軽く読めるが、う~んと考えるところは多い。
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:潮出版社
(掲載日:2002-06-15)
タグ:身体 文化
カテゴリ 身体
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