I am here.
宮里 藍
ゴルフはメンタルスポーツと言われています。つまり、感情がスキルに大きく影響を与えることを表していると思います。この本を通して明確に、ゴルフがメンタル性の強いスポーツであると感じることができました。
本書は、誰でも起こり得るスランプになっていく過程や葛藤、思考状態を考えることから始まり、著者が重要視していること、アメリカ、日本で戦っていた頃、そしてここに至った道筋について5章にわたって書き綴られています。
著者が高校生の頃から活躍していることは、皆さんもよく知っていることであります。私は、彼女が優勝回数を重ねて、アメリカに戦いの場を移すことは必然的なことと思っていました。私は表に見えている順風満帆な面しか知りませんでした。誰しも見えないところで苦しんでいる姿があるのは当たり前ですが、彼女が弱みを強みに変えることを可能にしてしまう思考の持ち主であることに凄みを感じました。
著者は、アメリカで活躍できるプレイヤーになることを夢と語っていました。その夢を実現するために10年後の自分を見据えてプレイしようと考えています。つまり結果のみがすべてと考えず、過程をより大切にしようとしています。なぜなら自分自身がコントロールできないことに右往左往するよりも、コントロールできないことこそ地道にやって何かを掴みたいと考えています。そして、彼女はこのことを植物にたとえています。種をまく、水をやる、肥料をやる、花を咲かす。すぐに芽をだすかどうか、その答えはひとつではないこと。つまり、向かうところは一緒でも様々な経過があり、ただ花を咲かせるための努力は常に続けていこうということであります。確実に一歩ずつ噛み締めながら焦らず前を向いていくという、まさしくゴルフそのものを象徴する考え方ではないかと印象的でした。
過程もひとつの結果ではありますが、そのひとつの結果に取り乱されない。いわゆる、先をみて努力する重要性を感じ取れました。先を見据えて今を最大限に努力する、だからこそ先への期待として楽しみに変化する。私は、これが本書の題名、I am here.の意味することだろうと思います。そして、著者はそれをアメリカに求めているのだろうと感じました。今後彼女がどう歩んでいくかを観ていくことが、とても楽しみになりました。
私は本書を通して、自身の未来予想図を考え、自身の現在を見つめ直す素晴らしいきっかけをつくってもらえたと思いました。
(鳥居 義史)
出版元:角川SSコミュニケーションズ
(掲載日:2014-05-14)
タグ:ゴルフ メンタル
カテゴリ メンタル
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