はだかの小錦
小錦 八十吉
相手に有無を言わせない押し相撲で、出世街道まっしぐらだった現役時代を思い浮かべると、実力で周囲を黙らせてきたと思っていた。しかし、小錦氏は「生き抜く秘訣は自分を大相撲界流に合わせること」と語る。言葉の問題を乗り越え、兄弟子からの「かわいがり」に耐える。相撲界の理不尽なしきたりに耐え、人知れず体重管理やケガに苦しめられた。そんなつらい日々を乗り越える支えは、両親に楽をさせたい一心だったという。その苦労は並大抵のものではなかったと思う。
語り掛けてくるような、柔らかい文章で綴られているので、苦しみや成功の軌跡がダイレクトに心に響く。異国の地で異文化を自分に適合させる。それを実践してきた言葉には重みがあり、多くの人が感銘を覚えるものであるだろう。
(水田 陽)
出版元:読売新聞社
(掲載日:2012-06-04)
タグ:相撲 エッセー
カテゴリ 人生
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