まあちゃんの文芸評論・スポーツ論ノート
山村 正英
文芸評論として書かれている本書には個々の文芸・文学から時代や歴史が垣間見えます。独仏英文学、ヨーロッパ言語研究家、文筆家である筆者はその道の専門家ですので、それぞれの文学を紹介されるその奥にはそれらの成り立ちにも踏み込まれています。
わずか70頁に満たない本の中に百科事典並みの奥行を感じてしまったのは、サラッと触れられている時代背景や当時の思想が気になってしまい、いろいろ調べているうちに時間が経過したからかもしれません。
スポーツ論に関しても総論部分で歴史的にスポーツが抱えてきた問題点に触れられていました。スポーツの語源であるラテン語の「deportare」も調べてみればスポーツの本質的な役割が見えてきましたし、「スポーツと賭博」「プロ・アマ問題」「戦争とスポーツの関連」などについてもサラッと数行で書かれてはいますが、それぞれで一冊ずつの本が書けるほどの大きな問題といえるでしょう。
流し読みすれば1時間もあれば十分読めますが、どこかではまってしまうと離れがたい面白い本だと言えそうです。
余談ではありますが、「書く」という表現方法の伝達範囲の広さと、時間の経過にかかわらず存在する特性により、文化にまで昇華したのではないかと想像を働かせました。
(辻田 浩志)
出版元:創栄出版
(掲載日:2022-10-03)
タグ:評論
カテゴリ その他
CiNii Booksで検索:まあちゃんの文芸評論・スポーツ論ノート
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:まあちゃんの文芸評論・スポーツ論ノート
e-hon