運動分子生物学
大日方 昴 山田 茂 後藤 勝正
細胞膜やミトコンドリアの外膜を物質はどのように通過しているのか。そこに仕組みは必ずあるはずであるが、一般の生化学や生理学の書籍ではなかなかそこまで記載していない。その疑問を解決する一つの手段になりうる書籍である。遺伝子をはじめ筋細胞内外の構造変化やエネルギー代謝、シグナル伝達機構などを筋の構造や機能を細胞単位ではなく、さらに細かい分子単位を基準として記載されている。
とくに一般の生化学や生理学の書籍と異なる点は、運動前後でそれらがどのように変化しているのかが記載されており、トレーニング原理を考えるうえでは非常に役に立つ。
しかしこれらを理解するためには、まずは生化学や生理学の基本的な流れを理解していることが前提となる。
細胞を分子レベルで考えるとどうしても単一の細胞に目が向きがちになるが、筋細胞1つでは何もできない。筋細胞だけではなく、その周りの構造も筋収縮を行うためには必要なものである。
トレーニングもそうだが、全体像を意識して詳細を考えてゆかなければ、方向性を見失ってしまう。
(澤野 博)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-02-07)
タグ:分子生物学 生化学
カテゴリ 生命科学
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スポーツ・コーチング学 指導理念からフィジカルトレーニングまで
レイナー・マートン 大森 俊夫 山田 茂
著者は米国スポーツ教育プログラムの創設者。まず本書のボリュームにスポーツ・コーチングの奥深さと、コーチとはいかに多岐に渡る知識が必要かを改めて知らされる。
本書後半ではトレーニングやリスクマネジメントの知識がまとめられているが、やはり本書の特徴は指導理念や選手とのコミュニケーションに触れた前半だろう。練習をサボった主力選手を試合で起用すべきか、といった現場でよく起こるエピソードばかりだ。悩みにぶつかったとき、指導者は本書を手にとってみてはどうだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:西村書店
(掲載日:2013-09-10)
タグ:コーチング
カテゴリ 指導
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スポーツ・コーチング学 指導理念からフィジカルトレーニングまで
Rainer Martens 大森 俊夫 山田 茂
世の中には様々な指導者がいる。厳しい指導者・優しい指導者、熱血な指導者・冷静な指導者、指導対象とする年齢や性別・カテゴリーの違い…よい指導者の条件とはなんだろうか。同じ指導者でも「あの人はいい指導者だ」「あの人はダメだ」と周囲の意見が分かれるのはなぜだろうか。
本書の著者はレイナー・マートン。元イリノイ大学教授。30年以上にわたりコーチングを実践・研究している。
目次を辿ると、指導の哲学、選手とのコミュニケーション、練習計画のたて方からフィジカルトレーニングや栄養学まで網羅し、またチームや人間関係のマネジメントまで解説されている。
本書読んで感じた一番のパラダイムシフト(認識の転換)は「指導とは一方通行ではない」ということだ。日本のスポーツ現場では指導者と選手が主・従の関係になりやすい。とくに日本の部活動では教師・生徒という関係が前提にあるため、この関係は顕著で容易に強化されやすく、指導者から選手への指示は絶対的なものになりやすい。
本書では、コーチングは指導者が自らの指導哲学を持ちながらも選手のパーソナリティを深く理解し、それに合わせた指導を行うべきであると繰り返し述べられている。どうやって指示をするかではなく、どうやって相手を理解するか、そのための知識と手法を学ぶことができる。
また、本書では理解を深めるためにコーチングの現場で起きるさまざまな事例が提示されている。その1つを紹介しよう。
ある高校の女子バレーボールチームにBeckyという選手がいた。彼女は優秀な選手であったが背が低く、いつも後衛のポジションでプレーしていた。しかし、彼女は一度でいいから前衛でプレーしたいと思っていて、チームメイトもみなその気持ちを知っていた。
チームはコーチに対し「シリーズ最後の試合で一定以上の得点を上げたら、Beckyを前衛でプレーさせてほしい」という約束を交わし、見事条件を達成した。コーチはパフォーマンスとしてはベストではないチーム編成にためらったが、約束通りBeckyを前衛として起用した。
その試合は勝利することができた。Beckyが前衛でプレーし続けられるために、チーム全員が努力して高いパフォーマンスを発揮したからだ。選手も観客も熱狂し、選手たちの顔は喜びで輝いていた。
コーチが選手たちに協調し、勝利よりも重要な目的のために行動した事例である。
コーチングを学ぶこと、コーチングの手法が普及することは指導者個人のスキル向上だけでなく、日本全体のスポーツレベルの向上に大きく寄与するはずだ。ぜひ多くの指導者の方に読んでいただきたい。
(川浪 洋平)
出版元:西村書店
(掲載日:2019-09-02)
タグ:コーチング
カテゴリ 指導
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運動分子生物学
大日方 昂 山田 茂 後藤 勝正
近年、遺伝子技術を駆使した筋細胞の分子生物学的研究が進み、筋に対する新たな知識が加えられている。この本では、運動によってもたらされた信号を受けた筋が、どう応答し特性を変えるのかというテーマを踏まえながら、運動器官としての筋の構造と構成分子、さらには仕組みについて述べられている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2000-07-10)
タグ:分子生物学
カテゴリ その他
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