もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎 夏海
“This is a pen.”
教科書には載っているが、なかなか実生活の中では使うことのない文である。しかし、この文から英語の構造を学び、多くの実用的な文となってわれわれを助けてくれる。教科書とはそういうものかもしれない。そのためそのまま応用して活用できる者もいるが、参考書でワンクッション入れることで応用問題に活用できる者もいる。
この作品はタイトルの通り、高校野球の女子マネージャー初心者の主人公がとりあえずマネジメントとは何かを学ぼうと本屋で出会ったドラッカーの『マネジメント』を読みながらストーリーが展開していく。当初は、“マネジメント”違いに戸惑いながら半ば根性で読み続けるが、次第に高校野球のマネジメントと経済学のマネジメントとの共通項を見つけて応用していく物語である。
ドラッカーの『マネジメント』という教科書を応用(しかも高校野球に)できる者はなかなかいない。役立て方がわからずに退屈して授業を受けている経済学部の大学生もいるだろう。しかし読書百篇、読み込んで云わんとするところを熟慮すれば、経済学と高校野球という遠く思われた集合体に「組織の発展」という共通項が見えてくる。共通項が見出せて、ドラッカーの『マネジメント』のような不朽の教科書があれば、その応用方法は変幻自在だということを例文のみで紹介した参考書と言える。
やや奇抜な表紙や挿絵は、経済学ともスポーツとも異なる層を誘引するための愛嬌であろう。
(渡邉 秀幹)
出版元:ダイヤモンド社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:マネジメント
カテゴリ 指導
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