古くてあたらしい仕事
島田 潤一郎
出版社を営む著者が出版社を始めたきっかけは、採用試験に落ち続けたことと、従兄の死だという。たった1人で企画、営業、経理、発送、その他を行い、年に3冊それぞれ2500部程度を刷る。それが1人で、手紙のような本をつくる限界だと考えているからだという。
本を読む時間は、どんな内容の本であれ、現在の自分というフィルターを通して読む。自分と重ねたり、ツッコミを入れながら、行きつ戻りつ読み進める。時々ハッとするような言葉に出会ったり、まるで目の前に著者がいて、説教されているような気分になることもある。
家族のことを想ったり、仕事のことを考えながら、あるいは、過去を思い出し、未来を想像しながら読書する。そのなかで、気づきや慰め、希望、新しい視座を得て、ちょっと身の回りが明るく、見通しがよくなる。著者や自分自身、ひいては、この世界との対話、といっても言い過ぎにならないのが、本を読むこと、なのかもしれない。
一人ひとりに向き合い、寄り添うような本づくりをする著者の仕事に、感銘を受けた。
(塩﨑 由規)
出版元:新潮社
(掲載日:2022-08-22)
タグ:仕事 出版
カテゴリ 人生
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