理系バカと文系バカ
竹内 薫 嵯峨野 功一
日本では人を「文系」「理系」と分けて考えるところがある。その鍵は「数学」にあるようだ。数学を理解するか、あるいは数学的思考ができるかどうかで、理系、文系が決まるところがある。だが、よく知られているように、いろいろな組織のトップは文系が多い。その文系は、因数分解など社会に出たら不要だと確信している。一方で、理系のほうが人間としては文系より上であると思っている理系の人も多い。いずれもこの著者によれば、「理系バカ」「文系バカ」ということになる。
橋爪大三郎によれば、日本の理系・文系の定義は、明治時代に旧制高校が作ったものだとか。黒板とノートだけで学べる文系に比べ、理系は実験設備にお金がかかる。お金のかかる学部を理系、お金のかからない学部を文系と分類し、お金がかかる学部の生徒数は絞らざるを得なかったというのだ。そこで数学の試験をして、文理が振り分けられた。
これを読んだだけで「ムッ」ときた「文系」の人もいることだろう。しかし、著者は、理系自慢をしようというわけではなく(著者は東京大学理学部物理学科卒の理学博士、理系だが、サイエンスライターという文系でもある)、「文理融合」がこの本で言いたいことである。「知」はバランスのなかにある。これが結論だろう。
2009年3月30日刊
(清家 輝文)
出版元:PHP研究所
(掲載日:2012-10-13)
タグ:知識 教養
カテゴリ その他
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