ホイッスル! 勝利学
布施 務
読んでいる間、ずっと苦しかった。「本気でぶつかっているのかい?」と問い詰められ、「“エッジ”に立って飛んでみろよ」と挑発され、「目標は手の平に載っている。握る努力をするのかしないのか。決めるのは自分自身だぜ。」と試されたみたいだ。
本書は本来、「たとえ持って生まれた人柄や個性は変わらなくても、考え方の習慣はトレーニングで変えられる」という前向きな内容の本である。
しかし、私にはそう感じられた。家庭と仕事とボランティアでのスポーツ指導と、どれもこれも言い訳ばかりの中途半端。ああ、なんてダメなオレ…。読み進めるにつれ、どんどんどんどん自虐的な気分になってゆくのだ。
この本は、今まさにプレーヤーとして夢を追っている小中高生向けに書かれている。しかし、指導者にこそ読んでほしい本、いや読むべき本である。
「本気」なのか? 「断固たる決意」はあるか? 指導者たる者は、生徒に精神論を語る前に、自分のことを見つめなおし、「できない自分」と向き合う勇気を持たなければならない。
落ち込んでいる場合ではない。私も「できない自分」と向き合おう。そして、心の中に本気の火を灯し、「今、この瞬間」に全力を尽くそう。読後には、そういう気持ちにさせてくれた。背中を押してくれる一冊である。
(尾原 陽介)
出版元:集英社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:メンタル
カテゴリ メンタル
CiNii Booksで検索:ホイッスル! 勝利学
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:ホイッスル! 勝利学
e-hon