見抜く力
平井 伯昌
幻冬舎新書の新刊。副題は「夢を叶えるコーチング」。もちろん、著者は、北島康介、中村礼子、上田春佳選手を育てたコーチである。
平井コーチは、もともとは水泳選手だったが、在学中に選手からマネージャーに転向した。以来、選手をみる目、そしてどう判断し、いつ、何を言うかを学んでいった。
この本でも語られるが、上記3人の選手はみなそれぞれタイプが異なる。北島選手は強い精神を持ち、「勇気をもって、ゆっくり行け」という言葉がよい結果を生む。何度断っても指導してほしいと言ってきた中村選手は、「押しかけ選手」だが、北京オリンピック100m予選で日本記録を出したが、「よし、行ける!」と思うタイプではなく、「つぎ、どうしよう?」と思い悩むタイプである。自分でプレッシャーをつくってしまい、その結果、守りの姿勢になってしまう。上田選手は、何を言っても聞いているのかいないのかわからないようなタイプ。
それぞれ個性的だが、コーチはひとり。対応を変えないと、うまくいかない。本書の章題は「五輪の栄光」から始まり、全7章あるが、「見抜く力」「人を育てる」の章は誰でも大いに参考になる。最後は「夢を叶える」。夢に向かって動き出したくなる本である。
2008年11月30日刊
(清家 輝文)
出版元:幻冬舎
(掲載日:2012-10-13)
タグ:水泳 コーチング
カテゴリ 指導
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世界でただ一人の君へ 新人類北島康介の育て方
平井 伯昌
これは水泳コーチのみならず、部下を持つ人、子を育てる人、あらゆるスポーツの指導者、あらゆる芸術の指導者、人を育てることに関わる全ての人が読むべきドキュメンタリーである。
2004年アテネオリンピック金メダリスト北島康介選手。今や誰もがその名を知るトップアスリートである。しかし、北島選手は最初から「金メダリスト」であっただろうか。生まれながらにして金メダルを取れると約束された人など、この世に誰一人として存在しない。では、なぜ彼は「金メダリスト」となり得たのか。彼と関わるすべての人、そして指導に当たった平井コーチが彼の能力を見出し、その能力を伸ばしたことにほかならない。
そして、平井コーチの指導から見えるコーチングの神髄とは人間性である。人を育てるときに、何よりも見落としてはならないものではないだろうか。金の卵を育てるためには、相手を信じ、相手とともに長期戦を戦い抜く努力と根気を惜しんではいけないことに気づかされる1冊である。
(梅澤 恵利子)
出版元:幻冬舎
(掲載日:2012-10-15)
タグ:水泳 指導
カテゴリ 指導
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努力は決して裏切らない
平井 伯昌 折山 淑美
シドニー、アテネ、北京と3回連続で五輪に出場し、アテネと北京ではともに2冠に輝いた水泳の北島康介選手。本書では、シドニーから北京までの12年間に渡り、北島選手とコーチの平井伯昌氏がどのような思いで頂点を目指し、どのような戦略で金メダルを勝ち取ったか、その二人三脚の軌跡を描いている。
「このコーチの言うことを聞いていれば間違いない」──そう選手に言わしめる信頼。それは、コーチの迷いのない、“勇気ある指示”から生まれるものだということがよくわかる。平井氏は鋭い観察眼で北島選手の心技体のコンディションを捉え、ライバル選手たちも徹底的に分析し、状況に応じて柔軟に戦略を変えていく。いかにして“勇気ある指示”ができるか。平井氏の取り組みから、それが明確に見えてくる。
また、五輪出場を目指す段階、メダル獲得を目指す段階、連覇を目指す段階と、それぞれのステージによって、選手への指導方法や戦略をどう変えていくか、そのプロセスも興味深い。注目すべきは第6章。ここでは、アテネで金メダルを獲得した後、どん底に陥った北島選手と平井氏が、新たな師弟関係を築き上げていく様子が描かれている。病気や初めてのケガを乗り越え、北京での連覇を目指す二人。「指導者は選手にないものを教えるのではなく、あるものを引き出す」という平井氏の指導方針が的確であるということが、非常によくわかるパートだ。長い年月を経て成長していく二人の関係が、微笑ましくも映る。
選手がまだ駆け出しのとき、大きく成長するとき、絶頂期、スランプのとき。その時々に応じてどう接するべきか、選手にどんな言葉をかけるのがベストなのか、選手を支える指導者やスタッフであれば、誰もが迷うことだろう。本書は、そのヒントになるかもしれない。
(岡田 真理)
出版元:日本文芸社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:水泳
カテゴリ 指導
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平井式アスリートアプローチ 北島康介育ての親が明かす心の交流術
平井 伯昌
コーチとはいかにあるべきか。北島康介選手を始め、数々のトップスイマーを育成してきた平井氏が、日々どのようなことを考えているかをまとめたもの。水泳に情熱を注ぎ込み、スポーツバイオメカニクスなど科学的な知識や歴史小説、深夜に及ぶ水泳談義など、あらゆる分野や人から吸収しようという姿勢を示し続ける。なおかつ選手と腹を割って向き合う。選手たちがハードな練習ができるのは、コーチとの信頼関係があってのものである。
コーチは、これまでの経験、記憶、学んだことをもとに、ひたすら考えつづける。プールサイドを歩きながら考えを整理していくこともあるそうだ。そこから導かれる結論を、わかりやすく伝える。それを受けて選手は結果を出すのである。コーチングは生半可な覚悟ではできないことがよくわかるが、平井氏は「コーチングは楽しい」と締めくくっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2009-11-10)
タグ:水泳 コーチング
カテゴリ 指導
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