めざめよカラダ! “骨絡調整術”
平 直行
こういう武道系の身体操作術の本は好きでよく読んでいますが、正直言って当たり外れが激しいというのが私の印象です。とりわけ武道というものは理論よりも実践の中で培われたものですから文章化すること自体に馴染みにくいという性質もあるからだと思います。それと武道ひと筋でやってこられた方が多いので、ご自身の世界観の中での話に留まることもしばしば。だから筆者の世界観が合わなければ読んでいて苦痛に感じることさえありました。
しかし実際に読んでみて、そういった心配は無用でした。イラストを交えた解説もわかりやすく、とっつきにくさはありません。読者のことを考えながら書かれたものだと感じました。
やはり大切なのは本に書かれた情報をもとに実践したとき、どう感じるかだと思います。だから可能な限り自分で試してみるようにしているのですが、本書に関してはいくつかアッと思うような感覚がいくつかありました。最近、私は右肩と左の股関節に問題を抱えていたのですが、本書で紹介されたメソッドを試してみると右肩の引っ掛かりが消失し、左股関節の痛みも感じなくなりました。論より証拠、これほど具体的な結果を見せられては否定する理由がないというもの。
武道の型は古来より伝承されたものであり、理にかなったものでなければ生き残ることはかなわないという納得できるような納得できないような言い方になるのですが、結果が出ればそれも信用せざるを得ません。同じ話が何度も出てくるのもご愛敬といったところでしょうか。
骨格の正しい使い方で極力筋力に頼らないというのは、筋骨格系の効率的な身体操作だと思います。それだけに力に頼った身体の使い方を続けているとアンバランスになり、全く使えていない筋肉が萎縮したり弱体化することは、身体の本来の機能を失うばかりか痛みまで誘発することもあります。
筋力に頼らないということは、筋力が衰えた高齢者にとっても有効な手段となりうるのではないかと感じました。
(辻田 浩志)
出版元:BABジャパン
(掲載日:2018-10-27)
タグ:武道
カテゴリ 運動実践
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