漢方方剤大法口訣
張 明澄 桑木 崇秀
神保町でふらっと入った古書店で、手に入れた本書。極めて簡潔に書かれているのが目を引いた。学生時代、ある疑問が生じたときに、東洋医学の教科書を繰ってみると、古典のどこそこに記載あり、などとあるだけで混迷を極めた結果理解を諦めて、試験用に丸暗記してしまったという、苦い記憶がある。
本書は「透派」と呼ばれる家学を公にしたもの、らしい。こうした家学から入ると、学習期間を6年間ぐらい短縮できる、と中国ではいわれているとも、序文にある。
本文は、証候篇、診断篇、治則篇、本草篇、方剤篇に分かれ、それぞれ原文、訳文、句解、訳解、註釈、補註となる。
訳はこなれていて、読みやすく、なによりコンパクトだ。それは、本書が組織的系統的にまとまっていることを示している。しかも、なんと原文は、詩の形をとっていて韻を踏んでいるので、中国語話者にとってはとても身につけやすいのだという。
本書の内容についての正否は、半可な鍼灸師である自分には判断がつかないが、どちらかといえば近寄り難い本が多い分野で、複雑さよりも単純さに重きをおくことで、理解しやすいようにしてくれている親切さが嬉しかった。
また、神保町をぶらついてみようと思う。
(塩﨑 由規)
出版元:香草社
(掲載日:2022-09-26)
タグ:漢方
カテゴリ 東洋医学
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