世界を制した「日本的技術発想」
志村 幸雄
関節鏡が日本で生まれたことは本誌(月刊スポーツメディスン)でも紹介したことがあるが、こうした医療機器やその技術、あるいはスポーツ現場におけるトレーニングにおいても、「日本的技術発想」をみることは少なくない。
本書を読んで、いかに日本人が「精緻」であること、「厳密」であることを目指し、実行してきたかがよくわかる。
「パウダーパーツ」という部品をご存じだろうか。文字どおり、粉のように小さい部品である。愛知県のプラスチック加工メーカーでは、歯が5つあるプラスチック製の歯車で重さ100万分の1gのものを作っている。直径0.147mm、幅0.08mm。世界最小、最軽量は言うまでもない。これを「パウダーパーツ」と呼んでいる。開発に要した資金は2億円。何に使うか。社長が言うには「小さすぎて、用途はまだない」。これで終わりではない。「次の目標は、「1000万分の1g」だそうだ。
なぜ、日本ではそのようなことが実行されるのか。この本を読んで知ると、必ずどの仕事にも役立つだろう。
2008年11月20日刊
(清家 輝文)
出版元:講談社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:技術
カテゴリ その他
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