徒手筋力検査 ビジュアルガイド 臨床の質を高める技術と機能評価
Karin Wieben Bernd Falkenberg 斉藤 明義
私ごとで恐縮ですが、去年父親が脳卒中になり入院していました。幸いにも大きな後遺症もなく、左半身にわずかな片麻痺ですみました。その病院ではリハビリの環境がしっかりしていて理学療法士や作業療法士の皆さんが毎日懸命に機能回復に取り組んでくださいました。私も毎日のように病院に参りましたが、父親の評価を事細かに説明してくださいました。「三角筋の前部が同年齢の何%で、中部が何%です」とかなり具体的な数値評価を出しておられました。おかげで日に日に回復し、ひと月ほどで退院するときも、どの筋肉がどれくらい数値的に弱いかを説明したうえで、退院後のリハビリの方法まで教わりました。
こういった現場では、かなりきめの細かいところまできちんとした評価がなされていることを初めて知りました。検査により正しい評価がなされたうえで初めて、その課題に対するリハビリがあるということを今更ながらに思い知らされました。そういった経験をしたあとに本書を読めば、筋力検査がきちんとできてこそ、適切なリハビリがあることが理解できました。
内容的には基礎知識から始まるのですが、現場でその知識を活かすための関連づけのある解説になっている点、構成に工夫が感じられます。身体全体の評価から次いで部位別の細かい検査という流れはそのまま臨床での手順として用いることができるでしょう。さらに臨床で起こる具体的な症状についても言及があり、あくまでも「現場で使える」というこだわりを感じました。最後にはテスト問題まで用意されていますので、学生さんが勉強するにはうってつけの一冊となっています。
(辻田 浩志)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2019-09-17)
タグ:筋力検査
カテゴリ 医学
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