高齢者の転倒
レイン ティディクサー 林 泰史
副題は「病院や施設での予防と看護・介護」。この副題が本書の特徴をずばり表現している。
月刊スポーツメディスン34号の特集でも示した通り、各方面で転倒予防教室が展開されている。監訳者は、介護予防、老人保健事業では健康教育と機能訓練項目として組み込まれているが、残されているのは病院にいる約63万人の高齢患者、介護施設にいる約63万人の虚弱高齢入所者から要介護高齢入所者に対する転倒予防策だと言う。また、多くの病院での事故の3割以上が転倒で占められるのではないかと言う。
本書は、そのために書かれたティディクサーの名著を日本語として読みやすく理解しやすく翻訳したものとのこと。
確かにその通りで、本文は適所にイラストがあり、文章も平易に書かれている。また、付録として、「行為・状況別動作遂行能力検査」「歩行補助具の高さ設定法」「歩行補助具の使用法」「転倒・骨折防止」「ケーススタディ」などがあり、とても実践的な内容になっている。
B5判 174頁 2001年12月7日刊 3000円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:メディカル出版
(掲載日:2002-01-15)
タグ:転倒予防
カテゴリ 医学
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史
月刊スポーツメディスン69号の特集『骨を鍛える』に登場いただいた東京都老人医療センターの林院長が監修した本。第1章「転ばぬ先の知識と生活」では骨折危険度チェックシートを始め転倒の要因と予防法を、第2章「骨もからだも元気になる食生活」では骨を強くする食材やレシピを、第3章「骨折予防ワーク」では誰でも簡単にできる骨を鍛えるためのエクササイズがそれぞれ解説されている。
高齢者の骨粗鬆症は増え続け、寝たきりになる原因として70歳以上で3位、90歳以上の女性では1位が骨折となっている。林院長は「生涯骨元気のススメ」の項にて、「『骨抜き』では命が成り立たない」と述べ、骨を丈夫にするポイントとして(1)不摂生をしないでよく歩く、(2)乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、(3)日光にほどよく当たるの3点を挙げる。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきりの悪循環にならないよう、骨を意識した食事・運動を取り入れていきたいものだ。
2005年7月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:家の光協会
(掲載日:2012-10-10)
タグ:高齢者 転倒予防
カテゴリ スポーツ医科学
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高齢者の転倒 病院や施設での予防と看護・介護
Rein Tideiksaar 林 泰史
「転倒が高齢者の幸せを奪う病気の中心的なものの一つである」。高齢者のなかには、転倒によって人生(生活)の質の低下を余儀なくされている人が多くいます。現在、病院や介護施設だけでなく地域社会においても多くの転倒予防対策が講じられています。本書はRein Tideiksaarによる『Falls in Older Persons Prevention & Management』を日本の各施設が転倒予防対策を行う上での参考図書にと訳されたものです。
第1章では、転倒の影響について、転倒した本人に関すること、その家族からの視点、施設側からの視点に分けて述べられています。家族がどのように感じているのかという部分について書いているものは少なく、とても参考になりました。また施設のスタッフがどのように感じているのかと点については共感できる部分が多くありました。
第2章では転倒の原因と危険性について内的要因と外的要因に分け、詳しく説明されています。そのため、リハビリテーションを学ぶ学生にとっても転倒ということを知る上で参考になると思います。
第3章、第4章では臨床現場での評価や予防策について、転倒歴の記録内容(SPLATT)や行為・状況別動作遂行能力検査(POEMS)などを例にあげながら述べられています。第5章では環境整備について多くのイラストとともに紹介されています。
本書は日々の臨床と照らし合わせながら読むことができるため、新たな気づきを与えてくれる一冊だと思います。
(山際 政弘)
出版元:メディカ出版
(掲載日:2012-10-16)
タグ:転倒予防
カテゴリ 指導
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骨の健康学
林 泰史
一般社会で「骨」というものに対してどういう認識を持っているかを考えてみると、体格の基本をなし、身体の形を形成するもの、あるいは身体を守るためのもの、その程度の感覚で捉えられているのではないかと想像します。ところが本書ではもっと多くの役割を持ち、骨以外の存在に対しても深く関わる、そんな骨の知られざる正体に迫ります。多少は骨のことを知っているつもりだった私も、実際は知らないことだらけだったというのが本当のところ。
骨の代謝のメカニズムが実に詳しく解説されています。また骨といえばカルシウムを思い出しますが、カルシウムが骨以外の身体の部分で大活躍するという事実と、そのカルシウムの量をコントロールするのに骨が関わるという重大な機能は世間ではあまり知られていません。
また近年積極的にカルシウムを摂取するという呼びかけもありますが、カルシウムという材料だけでは骨はつくられず、せっせと取りこんだカルシウムも場合によっては排泄されてしまうということは私たちも覚えておかなければなりません。正しい知識で骨をつくる方法を習慣化しなければならないわけです。偏った情報もあり、カルシウムを取り入れることだけに踊らされた方も少なくないように思いますが、骨をつくるためには「カルシウム・ビタミンD・運動」という3つの要素を備えなければいけないことも書かれています。
その上で、骨粗鬆症を予防法や骨の病気などの具体的な骨の問題を紹介してあり、面白そうなトピックスを抜粋して紹介した本というよりも、「骨の基本書」としての性格があります。あるいは豊かな骨を形成し健康に過ごすための指導書といってもいいかもしれません。
私はいつも本を読むとき、重要な個所にはアンダーラインを引き、目印に付箋を貼る習慣があります。本書を読み終えたときの付箋の多さには驚きました。250ページ足らずの本書はあまりにも内容が濃かったようです。今後も骨のことを調べるときにはこの本を開くことから始まりそうです。
(辻田 浩志)
出版元:岩波書店
(掲載日:2012-10-16)
タグ:骨 骨粗鬆症
カテゴリ 身体
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史
「骨抜き」では命が成り立たない。
それなのに、今、小学生は簡単に骨折してしまい、高齢者の骨粗鬆症も増え続けて、70歳以上の方が寝たきりになる原因の3位を「骨折」が占め、90歳以上の女性では脳卒中より多く1位になっている。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきり、は一直線。骨はまめに動いていないとすぐ衰えてしまうが、都会より農村の高齢者のほうが、骨が弱くなっていることも気になる。骨を丈夫にする方法はとてもシンプルで、①不摂生をしないで良く歩く、②乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、③日光にほどよく当たる、この3つのポイントを守ると骨密度が上がり寝たきりを防げる。これは生活習慣病を予防する生活と共通している。
第1章で骨に関する知識と生活習慣で気をつけることを分かりやすく記載されている。この第1章を読み実践するだけでも十分骨折を防ぐことができると思う。第2章では骨を強くする食に関する内容。牛乳・小魚だけでカルシウムを補っている人も多いと思うが、骨を強くする食材・食べ方にはいろいろあり、簡単でもっと気楽にカルシウムを補えることに感動するだろう。第3章では骨折予防のワーク。基本的な運動やストレッチングだが、やるのとやらないのではやはり骨には大きな影響があると思う。
これからはもっと予防が大切な時代になってくると思うので、日頃の生活習慣を見直すうえで何をすればいいかわからない人にはこの書籍はお勧めである。
(安本 啓剛)
出版元:家の光協会
(掲載日:2012-10-26)
タグ:転倒予防
カテゴリ スポーツ医科学
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