健康社会学への誘い
桝本 妙子
30年近くにわたり保健師として、また保健師の教育に従事している桝本氏の博士学位論文を加筆・修正したのが本書である。健康について社会学的に考えて行動することを「健康社会学」と定義し、健康社会学を保健師の地区活動に応用すると何ができるかを考察、理論、実態分析、実践提示を関連させて論じている。副題は『地域看護の視点から』。
本書の特徴は、1979年にアーロン・アントノフスキーが発表した「健康生成論」に着目している点である。第4章「健康生成論からみた地域住民の健康実態」では、同氏が開発した「調和の感覚尺度」(Sense of Coherence:SOC)を用い、都市部と都市部近郊の住民の健康実態を紹介している。ここではWHO憲章に基づく身体的・精神的・社会的健康、QOLとの比較検討もされており、健康生成論の有用性が示されている。少子高齢化に伴う健康問題において、「人間の生きる力そのものを強める発想、つまり『創る健康』が重要な考え方になってくる」と桝本氏は指摘するが、本書を通して「健康とは何か?」を再考させられる。
2006年3月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:世界思想社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:健康
カテゴリ その他
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