宿澤広朗 勝つことのみが善である
永田 洋光
早稲田大学ラグビー部のキャプテンを務め、日本代表になり、卒業後は住友銀行に入行、同銀行では最終的に専務執行役員にまでなり、その激務を続けながら日本代表監督としてスコットンランドに勝利した宿澤広朗氏のラグビーを通じた人生を、詳細で時間のかかった取材でまとめたもの。副題は「全戦全勝の哲学」。
東京大学が紛争で入試を中止したときの受験生で、宿澤氏は早稲田大学政経学部に進んだ。一般学生としてラグビー部に入部、「1週間でやめるだろう」と思われていたが、すぐに1軍選手となり、あとの活躍は言うまでもない。なぜ「勝つことのみが善である」というタイトルなのか。
宿澤氏はテレビ東京の『テレビ人間発見』でこう語った。
「競技スポーツも、資本主義経済も、勝つことが正しい目的なんです。ただ、やり方を間違えると、“勝利至上主義”とか、“儲け主義”と言われる。結局、最後は金銭ではなく、名誉ですよね」。言葉の意味するところは大きい。
真剣に考え、やるべきことをやればまず負けないと言う。「真剣」という言葉の意味を痛いほど知ることができる1冊である。文句なし。おすすめする。
2009年6月10日刊
(清家 輝文)
出版元:文藝春秋
(掲載日:2012-10-13)
タグ:ラグビー
カテゴリ 人生
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