背番号三桁 「僕達も胴上げに参加していいんですか?」
矢崎 良一 岩田 卓士 玉森 正人 中田 潤 池田 浩明 伊村 雅央
2003年、阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を果たす。そこには、表舞台には出てこない人々の数だけドラマがある。そんな「背番号三桁」の男たちの物語である。
なぜ、彼らは表舞台に出られなくても、もがき苦しむのか。ある者は、バッティングピッチャーとして来る日も来る日も、選手のために肩を酷使する。もちろん、根底には野球が好きだということもあるだろう。しかし、もっと別の何かが彼らを奮い立たせているに違いない。
作家の村上龍が、こんなことを言っている。「私たちは、他者から幸福を得るより、他者の幸福に貢献するほうが、喜びは大きいのではないか」と。もしかしたら、これが彼らのもがき苦しむ理由のひとつかもしれない。
多くの人は、人生では負けることの方が多い。おそらく99%は負け続ける人生なのだ。しかし、負け続ける人生には、もしかしたら勝ちしか知らない人の人生より、大きなものが得られるのかも知れない。
そう、「背番号三桁」の人生も悪くない。
(森下 茂)
出版元:竹書房
(掲載日:2013-05-23)
タグ:裏方
カテゴリ スポーツライティング
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異能の球人
矢崎 良一 藤井 利香 崔 仁和 中里 浩章 谷上 史朗 沢井 史 渡辺 勘郎
監修の矢崎氏は、高校野球の指導者には「異能」が求められるという。高校野球という場は時間が限られ、(一部を除いて)力量の高い選手も限られ、学校や保護者の理解もなかなか得られるものではない。そもそも「場」に立ち続ける保証もない中でどう指導していくか。指導論に留まらず、生き様にまで迫ったシリーズの11冊目だ。
矢崎氏をはじめ7名の執筆者は、数奇で濃密な指導人生を辿る監督陣に深く切り込んでいく。浮かび上がるのは、野球の世界も若者に何かを教えるのも綺麗ごとだけではないということだ。甲子園に出場するような指導者でもここまで苦労しているのかと思わされる。その分、教え子たちが口にする言葉が尊いものに感じられる。現実を突きつけられるが、希望もある一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2014-08-10)
タグ:野球 監督
カテゴリ スポーツライティング
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