プロアマ共用 野球選手に贈る試合に勝つためのマル秘偵察術
神原 謙悟 大利 実
高校チーム、大学チームでアナリストを務め、プロ球団でゲーム分析を担当する神原氏。オリジナルの分析シートを公開し、その記録方法と、集めたデータから見えてくることを紹介していく。膨大な情報を収集し分析するというのは野球やチーム球技の特性かもしれないが、情報の活用という意味ではさまざまな種目に通じる。実際、試合毎に変わる要素がありデータが万能ではないこと、選手・指導者とのコミュニケーションのコツについてなども言及されている。また、「偵察」は敵に限らず、自チームの課題や長所を明らかにするものでもある。うまくデータを強化に結びつけたい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2017-03-10)
タグ:偵察 スカウティング 分析
カテゴリ その他
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プロアマ共用 野球選手に贈る 試合に勝つためのマル秘偵察術
神原 謙悟 大利 実
本書は、現在プロ野球のある球団でゲーム分析と育成を担当している神原謙悟氏が監修者として、自らの指導者経験や分析の仕事を通じて得た試合分析のエッセンスを披露したものである。現在の野球界はデータ取得のための様々なテクノロジーが発達し、「投手の球の回転数」「打球の角度」といった、一昔前では考えられない種類と数のデータが手に入るようになってきた。
そんな時代にプロ野球のゲーム分析担当者が著した本書だが、意外にも最新のテクノロジーの話はまったく出てこない。そこに紹介されているのは、神原氏オリジナルの分析シートを使い、投手の1球ごとに見えたこと、気づいたことを記入していくという、極めて基本的でアナログな方法なのだ。しかしこの分析シートがすごい。本書を読んでいただきたいので詳しく項目を挙げることは避けるが、野球に関心のある人がこのシートを見れば、その「観察眼」にはきっと驚嘆することであろう。一つだけ例を挙げれば、投手の投球間の仕草について、触る場所や視線の方向に至るまで観察すべき項目が挙げられている。もし、投手が自分の仕草をこれだけ詳細に見られていると知ったら、きっと動揺するのではないだろうか。
無名の公立校の指導者であった神原氏は、試合を見ながら気づいたことを常にメモし、また当事者チームの指導者を訪ねて生の声を聞く作業を繰り返しながら、この方法を習得したという。神原氏自身もパソコンで試合分析を行う仕事に携わりながらも、本人の言葉を借りれば、「現代野球をデジタルで戦うためには、アナログの力や感性が必要」と考えている。本書にも1節が設けられているが、指示する言葉の一つにまで気を使うその細やかさにこそ、データ分析とその活用に人の介在する意味があるのであろう。
本書に書かれていることをすべて実践しようとするのはかなり困難だと思われるし、神原氏自身もそれは想定していない。しかし、本書に示されている「観察のポイント」は、それが野球ファンであっても、また指導者や選手であっても、読者に試合を見る際の視点や気づきを与えてくれるであろう。専用の機材やソフトウェアがなくても試合分析はできるし、専用のツールから得たデータに深みを加えるには、やはり人の観察眼が必要なのである。そんな安心感も読後に持つことのできた一冊だ。
(橘 肇)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2019-09-07)
タグ:スカウティング
カテゴリ 指導
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