医学は科学ではない
米山 公啓
医療費抑制の文字が新聞やテレビで頻繁に流れる。「抑制」はわからぬでもないが、「削減」と言われると、必要でも削るというニュアンスが生じ、それでよいのかと思わせられる。その医療費抑制に「科学的根拠」が乏しいものに医療費は使えないという考え方がある。いわゆるEBM、科学的根拠に基づく医療というものである。これに対して首をかしげる人は多い。科学的根拠があるに越したことはないが、それだけで医療は成立するだろうか。そこに現れた本書。いきなり「医学は科学ではない」ときた。新書なので、あっという間に読めるが、医学、医療、科学について、医師でもある著者がかなりはっきりと書いている。「医学という科学的に十分確立できていない、不安定な科学といえる学問では、病気というものを十分にはとらえきれず、それが患者に不安を抱かせるのだ」(第5章医学を科学と誤解する人たち、P.132より)。
医療は患者のためにあるのだが、医学は誰のためにあるのだろうか。
2005年12月10日刊
(清家 輝文)
出版元:筑摩書房
(掲載日:2012-10-10)
タグ:医療 科学 医学
カテゴリ 医学
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