画像診断 病気を目で見る
舘野 之男
画像診断はどのような原理で身体を診ることができるのか。使い分けは、そして、どういった経緯で開発されたのか。それらを研究者の立場から紹介したのが本書である。
私はトレーナーという立場から、画像診断をしてきたクライアントに出会うことがある。だからこそ、本書を読めば、画像診断について理解でき、クライアントへのアドバイスとして活用できそうだと思い、興味津々に読み始めた。しかし、この本を読み終えた後の私の感想は「難しかった」、この一言に尽きてしまう。画像診断の原理についても詳しく書いてはあるのだが、知識の足りない私にはそれらを理解するに至らなかった。
鍼灸の学校に通っていた私は、臨床医学の授業もあり、本書に出てくる単語は見たことがあったが、理解が足りていない。そんな私でも、数多くある画像診断が、それぞれの開発者たちの切磋琢磨、時には連携して開発、改良してきたことを知ることはできた。
読み進めている途中で、医学部に行った方々は、この本をどこまで理解するのだろうか、ドクターは画像診断の成り立ちを純粋に楽しんで読むのだろうか、そんな疑問を抱く自分がいた。それはトレーナーを目指している学生時代、ドクターとコミュニケーションが取れるようになれと言われることが何度かあったという理由からだ。
研究を現場に落とし込む役割もするトレーナー。多くの人とコミュニケーションを取れるように、専門と一般の橋渡しができるように、幅広い知識は身に付けておきたい。私にとって本書の難しさが、また更に学びを深めようというモチベーションになった。今の私はドクターとの共通言語を身に付けているだろうか、そう考えさせられた。
画像診断に関わることがある人は読んでみてはどうだろうか。その診断技術について何を理解して、何を理解していないのか、今の自分を推し量る一冊になるだろう。
(橋本 紘希)
出版元:中央公論新社
(掲載日:2016-05-18)
タグ:画像診断
カテゴリ 医学
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