異能の球人
矢崎 良一 藤井 利香 崔 仁和 中里 浩章 谷上 史朗 沢井 史 渡辺 勘郎
監修の矢崎氏は、高校野球の指導者には「異能」が求められるという。高校野球という場は時間が限られ、(一部を除いて)力量の高い選手も限られ、学校や保護者の理解もなかなか得られるものではない。そもそも「場」に立ち続ける保証もない中でどう指導していくか。指導論に留まらず、生き様にまで迫ったシリーズの11冊目だ。
矢崎氏をはじめ7名の執筆者は、数奇で濃密な指導人生を辿る監督陣に深く切り込んでいく。浮かび上がるのは、野球の世界も若者に何かを教えるのも綺麗ごとだけではないということだ。甲子園に出場するような指導者でもここまで苦労しているのかと思わされる。その分、教え子たちが口にする言葉が尊いものに感じられる。現実を突きつけられるが、希望もある一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2014-08-10)
タグ:野球 監督
カテゴリ スポーツライティング
CiNii Booksで検索:異能の球人
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:異能の球人
e-hon
高校野球 逆境を力に変える方法
藤井 利香
シリーズ第2弾。練習時間・場所、人材などの制限がある中で、どのように練習を効率化し、個々の力を伸ばすか。本書が掲げる「66」の中には施設の紹介や他競技の観戦記なども含まれるが、それでも部外者はなかなか触れることのできない練習の様子が豊富に紹介されている。アイディアを惜しみなく公開した3校は、今頃さらに改良を加えていることだろう。
著者も、「自分達ならではの秘策を生み出して」とエールを送る。野球に限らず、また指導する立場・プレーする立場問わず、練習をよりよいものにするヒントが詰まっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2015-07-10)
タグ:野球
カテゴリ 指導
CiNii Booksで検索:高校野球 逆境を力に変える方法
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:高校野球 逆境を力に変える方法
e-hon
監督と甲子園7
藤井 利香
本書は強豪私学の監督がどのような考えをもってチームづくりを行っているのかが書かれている。また練習をどのように行っているのか、選手と関わるときには何を考えて話しているのかなども書かれており、普段ほかの指導者の考えを聞く機会の少ない人にとっては貴重な経験を得ることができる。
監督の話だけでなく選手の話についても触れている場面があり、プロになった選手はどのような態度で練習に臨んでいたかなども書かれていた。
練習メニューを勉強することも大切であるが、指導者の考えを聞くことも大 切である。選手も指導者の考えを理解することで、練習に対する考えに変化が現れるので参考にするとよさそうである。
(榎波 亮兵)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2017-01-21)
タグ:監督 野球 指導
カテゴリ 指導
CiNii Booksで検索:監督と甲子園7
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:監督と甲子園7
e-hon
小山台高校野球班の記録
藤井 利香
「やっぱり小山台高校が東京代表として甲子園に出るのは厳しかったのではないか?」
小山台高校が出場した選抜高校野球大会で、履正社高校に0-11で負けたときの私の正直な感想でした。小山台高校は、私がサポートするチームがしばしばオープン戦を行うこともある学校です。身近に感じて応援していたチームでしたが、ついついそのように感じてしまいました。
この本を読んで内情を知ると、印象はガラッと変わりました。選手・スタッフ・関係者の皆さまが野球だけではなく、さまざまなことと戦っていたことがよくわかりました。過去最低と評されていた代で、選手たちのノートにも秋のベスト8の時点で選抜を諦める言葉も出ていたとのこと。
それでも福嶋先生は選抜出場を視野に入れて「21世紀枠にふさわしいチームになろう」と口にされていたそうです。生活や学習態度なども含めて、周囲から選ばれるべくして選ばれたと認めてもらえる行動を心がけていたようです。このような取り組みも、選抜出場を引き寄せた要因なのではないでしょうか?
選抜出場が決まってからは、試合の前までもバタバタと大変だったようです。試合もあっという間の1安打完封負け。4番の選手の「打てないんじゃなく、むしろ打てる気がしていたんです。点差ほどボロボロにやられたイメージはないのに11点も入ってる。気づいたら取られていた、そんな試合でした」という言葉が、甲子園独特の雰囲気を表しているように思えました。その他、2章の最後に書かれていた選手たちの言葉は、甲子園を経験したからこその重みを感じました。
そして、夏に向けても選手はもちろん、スタッフにかかる重圧も相当大きかったようです。甲子園の舞台に立ったことで「レベルが勝手に引き上げられた気がする」という語った選手もいたようです。本人たちが感じているのと同時に、周りの見る目のレベルも引き上げられており、それがプレッシャーになっていたのではないでしょうか。
最後に、サブタイトルになっている「エブリデイ イズ マイ ラスト」のエピソードには涙が出そうでした。
甲子園に出場するという重みが、これほどまでに身近に伝わってくる藤井さんの表現も、あっという間に本を読み終えた要因の1つでした。自分もその場にいるかのように感じられました。高校野球に携わる身としては、非常に刺激になる一冊でした。
(塩多 雅矢)
出版元: 日刊スポーツ出版社
(掲載日:2017-02-06)
タグ:高校野球
カテゴリ スポーツライティング
CiNii Booksで検索:小山台高校野球班の記録
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:小山台高校野球班の記録
e-hon