素晴らしき日本野球
長谷川 滋利
本書では長谷川氏の経験を通し、決して断定的に日本とアメリカの野球について語ることなく、冷静に、その違いや特色を述べている。そのなかで同氏は日本に帰って久しぶりに甲子園で高校野球を見たときのことをこう語る。「とても好きだが、問題はある。」
日本とアメリカの選手を育てるシステムの最大の違いは「精神面」これは守備とか、配球などではなく、宗教的な部分での違いが明らかだそうだ。日本の高校野球ではダッシュを100本という練習があり、フィジカル的にはあまり意味のある練習とは思えないが、メンタル的にはそれなりに意味があったかもしれない。
また技術の面でも長時間の練習を通して自分の「形」を探っていくのは日本独特で、そういう面に関して言えば徹底した個人主義であるそうだ。そこが日本野球の独特の強みでもあり、技術面に優れたイチロー選手が生まれたのもそういった土壌があったからだという。だが専門的な練習を繰り返すことは本来持っている能力や筋力を眠らせている可能性もあり、“専門家”になるデメリットも挙げている。それに比べてアメリカではいろんなスポーツを経験しプロスポーツ選手になっている人も多い。スポーツを行っていると偏った環境になりがちであるがゆえに見習うべき点があることも事実。
日本とアメリカでの野球経験者だからこそ書ける「素晴らしき野球」。読んでみる価値は十分にあります。
2007年4月25日刊
(三橋 智広)
出版元:新潮社
(掲載日:2012-10-12)
タグ:野球
カテゴリ 人生
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素晴らしき日本野球
長谷川 滋利
近年、多くの日本人プロ野球選手たちが米・メジャーリーグで活躍し好成績を残している。本作は元メジャーリーガーの1人である長谷川氏が書き下ろした1冊である。ワールドベースボールクラシック(WBC)の開催などもあり、野球への関心が増している昨今であるが日本野球界、米・メジャーリーグをともに経験した著者による一味違った野球界の見方ができるものになっている。
プレーオフの導入についてもメジャーと日本野球との相違点から長短所について解説され、フリーエージェント(FA)やドラフトの制度、問題点なども米・メジャーリーグと対比させながら述べられている。
現代では米・メジャーリーグと日本野球は切っても切れない関係であり、日本野球がさらなる発展を遂げるために日本野球の素晴らしさや問題点の理解を深めるには有効なツールとなるだろう。
(池田 健一)
出版元:新潮社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:野球
カテゴリ 人生
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適者生存 長谷川滋利メジャーリーグへの挑戦
長谷川 滋利
アナハイム・エンジェルスのセットアッパーとして実績を挙げている長谷川慈利選手。同選手がメジャーリーグに挑んだ1997年から2000年までを紹介。アメリカで生き抜くには強者ではなく、環境に適した者でなくてはならないとの持論を培い、見事プロフェッショナル・ベースボールプレーヤーとなった氏の哲学集。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ぴあ
(掲載日:2001-02-10)
タグ:野球
カテゴリ スポーツライティング
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