戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼
柏井 正樹 島沢 優子
錦織圭選手がジュニア期に指導をされていた柏井正樹さんの著書でした。錦織圭選手のことが実例として書かれることが多かったので、説得力がありました。錦織選手のジュニア期は、相手のプレースタイルに付き合って試合を運び、相手が痺れを切らせてプレースタイルを変えてきたところで一気に切り崩していたそうです。柏井氏は、負けた選手が自分流を続けることができたら錦織選手に勝てる可能性があったかもしれないけど、自分がやっていることを信じきれていないので違うことをしてしまう、と表現しておりました。
自分がやっていることを信じるというのは、簡単なようで難しいことなんですね。トップクラスの試合での出来事というのが、その難しさを物語っていますね。私のサポートチームにも、格上のチームと試合をする際にも、自分たちの方針を揺るがさずに試合を運べるようになってもらいたいものです。
本書の中では心に響く表現がサラッと書かれていて、それがまた面白かったです。「試合で頑張らない人はいないので、それは試合で頑張らなかったのではなく、試合までの準備を頑張っていなかった」という表現には、深く納得しました。参考になるポイントが多々ありましたが、指導で使う声のトーンの使い分けが、実践する上で一番わかりやすかったです。これは心がけていきます。「戦略的な思考は、ゆとりのある自由な空気感から生まれる」という柏井氏の言葉通り、選手の能力を存分に引き出そうとする指導スタイルから、素敵な刺激をいただくことができました。
(塩多 雅矢)
出版元:大修館書店
(掲載日:2017-04-06)
タグ:テニス 戦略
カテゴリ 指導
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