自分の体で実験したい
Leslie Dendy Mel Boring C.B. Mordan 梶山 あゆみ
副題は「命がけの科学者列伝」。人間はいったいどのくらいの暑さに耐えられるのか。ジョージ・ファーダイス医師は、仲間の医師らを4人集めて実験する。その実験で仲間のチャールズ・ブラグデンが127℃まで温度をあげた部屋に入る。4人はそれぞれ高温にさらされても体温に変化がなかった。これがきっかけとなり、ヒトは汗を体外に放出し、体温を調整しているということを後々発見するが、127℃の部屋に入ったブラグデンは「不安になるほどの圧迫感を肺に覚える」と命の危険を感じ1分で部屋を出た。またホレス・ウェルズ歯科医は亜酸化窒素を用い、19世紀当時に困難とされていた抜歯に挑戦する。自ら実験台となって「針で刺されたほどの痛みも感じなかった」と残したが、これらの他にも麻酔薬の恍惚感をもとめて中毒となり、最後まで立ち直れない状態にまでなってしまったという。他にも“地上最速の男”になるため自己犠牲を払ったものや、人間の体内時計は別世界ではどのような影響があるのかと、地下の洞窟で131日間を過ごした女性など、本当か? と思うことが書かれている。このような背景を経て、治癒不可能とされた病気や伝染病などの原因が解明され、現代では多くの人が昔より安心して暮らせるようになったと言える。(M)
レスリー・デンディ、メル・ボーリング著 梶山あゆみ訳
2007年2月17日刊
(三橋 智広)
出版元:紀伊国屋書店
(掲載日:2012-10-12)
タグ:実験 科学者
カテゴリ 身体
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