動作でわかる筋肉の基本としくみ
山口 典孝 左 明 石井 直方
筋学の基礎にはじまり、各骨格筋の解剖学的位置と働き、さらにどんなトレーニングやストレッチが効くかが、CGモデルを使って示されている。上肢帯・肩関節、足関節・足指といった部位ごとに章立てされていて、各筋が見開き1ページにまとめられているので見たい筋にすぐたどりつける。
さらに付録として筋の起始・停止・作用・支配神経・生活動作の一覧もついており、重要点は赤シートで隠して覚えられる赤字表記となっている。
実際に身体を動かして仕組みを確認することも容易で、トレーニングやリハビリテーションの現場を志す人に最適な一冊といえる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:マイナビ
(掲載日:2012-05-10)
タグ:解剖学 機能解剖学 筋
カテゴリ スポーツ医学
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身体の使い方、鍛え方 スポーツがうまくなる
谷本 道哉 石井 直方
まず身体構造やトレーニング原理を理解し、具体的なメニューの紹介に入る。そしてベースとなる身体をつくった上でコツの習得へ、という流れがわかりやすく整理されている。本書で強調されるのは、「何のためにトレーニングするのか?」を常に考えることだ。
トレーニングを初めて取り入れるアスリートはもちろん、基本のメニューがコンパクトにまとめられているため、これから現場にでる指導者も持っておきたい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:マイナビ
(掲載日:2013-01-10)
タグ:身体 トレーニング
カテゴリ トレーニング
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宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方
古川 聡
地球人がひとつに
もう20年近く前になるだろうか。国際宇宙ステーション建設に伴う宇宙飛行士募集記事に強烈なインパクトを受けた。宇宙といえば、どこかに正義の巨人たちの星を含むM78星雲があるんだという夢の存在として出会い、空飛ぶ戦艦や汽車が旅し、機動歩兵を用いた地球人同士の戦争の舞台であったり、様々な異形の種族が入り乱れてこれまた戦争を繰り返しているような存在、つまりファンタジーの世界としての認識しかない場所である。
もちろん一昔前にアポロ計画により人類はすでに月に到達していたし、スペースシャトルやソユーズは何度となく大気圏を離脱していた。宇宙ステーションや人工衛星などは当たり前のように地球の軌道を周っていた。しかしそれでも宇宙というよりまだ地球の周辺だという印象だった。そこへ「国際」という言葉が加わっただけで、その響きに、無限に広がる大宇宙に向かってとうとう地球人がひとつになり始めたのだと、SFテイストではあるがそんな印象を感じ取ったのだ。
宇宙空間という環境で
さて本書は、医師でもある宇宙飛行士、そして国際宇宙ステーションにおいて連続宇宙滞在期間日本人最長記録(2014年1月現在)を持つ古川聡氏の著作である。「宇宙飛行士がリスクやストレスに打ち勝つため、そして『想定外の事態』に対応するためにどう『受け止め』、『考え』、『対処して』いるのか」を紹介、「宇宙飛行士の心の鍛え方」が学べる内容になっている。「人間関係からくるストレス」「組織に対するストレス」「リスク」「先が見えない不安」「理不尽な出来事」「想定外の危機」。これら心を揺さぶる様々な要因に対して、宇宙飛行士がどのように考え対応しているのだろう。
各章の最後にはまとめがあって、それだけを読めば、どこにでも載っていそうなことが書いてあると感じる。しかし、第1章ではいきなり宇宙ステーションへ秒速数キロメートルで飛ぶデブリ(宇宙ゴミ)が接近するという深刻な警報から話が始まる。外へ投げ出されれば、そこはヒトにとっては死の世界。その環境で「平常心で向き合える『くせ』をつけることを心がける」なんてできるのだろうか。「宇宙飛行士はミッションを遂行する技術の習得と同時に、こうしたリスクやストレスへの対応を訓練によって学び、身につけていく」その準備を周到に重ねていたとしても。
最高のチームが支えるパフォーマンス
古川氏は「身体を鍛えることで体つきががっしりして見た目も変わってくるのと同じように、『心を鍛える』事で得られるオーラとは、何事にも対応できるという『自信』」だと言う。おそらく訓練中のみならず、普段の生活の中で起こる様々な出来事などあらゆる場面で彼らはそれを磨いてきただろう。また、「選抜された宇宙飛行士候補生が」「宇宙飛行士を支えてくれる人々の存在を本当に理解する事で」「宇宙飛行士のオーラを出し始め化ける」との解説も紹介されている。考えてみれば宇宙飛行士は宇宙を実体験したことのない数多くのスタッフに支えられている。訓練中も、宇宙での任務遂行中も。彼らのその自信は、スタッフとの確固たる信頼関係にも支えられているのだ。
オリンピックなどトップスポーツの大舞台に立つアスリートにも似たようなことが言えるのではないか。そこに立ったものにしかわからないうねりの中で、自分をいつもの自分に保つ心の力は、周りの人間にはちょっと想像がつかない。だからこそ、彼らのプレーはそのパフォーマンス以上に観ているヒトの心を揺さぶるのだろう。彼らは身体も心も鍛え抜いて、そこに立っているのだから。ただ、そこに至るまでに関わった様々なスタッフとの信頼関係も少なからず力を与えているのも事実だろう。最高のチームが最高のパフォーマンスを支えているのだ。
新たな適応の先は
それにしても、惑星探査船が想像を絶する距離を旅して帰還する昨今、宇宙はヒトにとってどのような存在になるのだろう。
重力に馴染み、毒性の強い酸素を利用することで地球という環境の中で命を育んできたヒトは、貪欲にもその環境を振りほどいて、自分たちが普通では生きていけない場所に挑んでいる。宇宙に出ることが叶えば、ヒトは遠い未来には今のヒトではなくなっているのだろう。地球環境に対しては退化する変化だったとしても、新しい環境への適応が起こるのだろう。そのとき、ヒトの身体と心は一体どうなっているのだろう。
(山根 太治)
出版元:マイナビ
(掲載日:2014-03-10)
タグ:メンタル 宇宙飛行士
カテゴリ その他
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症状から治療点をさぐる トリガーポイント
齋藤 昭彦
全身の筋別に見開き2ページで完結していて、オールカラーのため、たいへん見やすい。使い方としては、冒頭の「痛みから探すトリガーポイント」で、痛みが出ている部位と、その部位に痛みを起こす可能性のある筋を確認する。その後、個別の筋のページを開くと、まず、見開き左手ページの小見出しに、その筋のポイントが3点書かれている。たとえば腸腰筋だとこんな具合。
・大腰筋と腸骨筋で構成される筋肉の総称
・腰椎と大腿骨を結び、深部で体幹の屈曲や伸展に作用
・股関節の屈曲を過度に行うとTP(トリガーポイント)が発生しやすい
次に、解剖・生理・運動学的な説明が続き、その筋肉にTPを作ってしまうような原因、傾向、さらには注意点が記載されている。腸腰筋の注意点は「腰仙部の機能障害や虫垂炎などほかの疾患と誤診しないよう注意を要します。腰方形筋、梨状筋、中殿筋、大殿筋、縫工筋など、ほかの部位のTPの関連痛パターンとの区別も必要です。」とある。
左手のページ右側にはメモ、キーワード、などがあり、用語の確認などの役に立ち、その筋にまつわる豆知識が得られる。右手のページにはカラーのわかりやすい図と、丁寧に手技の方法まで書いてある筋もある。とくに周りの筋との関係がわかるように他の筋が透かしになっている点が個人的にはありがたい。ただ個別のページにその筋の関連痛の図示などがあればもっとありがたかった。
通読するというより、気になったときに辞典のように参照するのがいいと思う。P25には「症状から予測されるトリガーポイントの部位」と題し、息切れ・咳・下痢・顎関節症・歯痛、etc. さまざまな症状が列挙されていて参考になる。もちろんTPだけで全て説明できるものではないが(この本でも注意点として、他疾患と鑑別することを促している)、軟部組織のトラブルをみる上で、優れたパターニング方法であることは間違いない。
(塩﨑 由規)
出版元:マイナビ出版
(掲載日:2022-04-04)
タグ:トリガーポイント
カテゴリ 身体
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一生、山に登るための体づくり
石田 良恵
私には、スポーツや運動といえば若い人がやるものという思い込みが以前ありました。しかし自分が高齢者のくくりに入ってしまったら「若者の特権」という意識は薄れてきました。スポーツを楽しむのは各々の体力に応じてできるのであって、それぞれのスポーツもすそ野が広い方が盛り上がるわけですから好ましいといえます。ところがケガなどのリスクは極力避ける努力をしないと後々つらい思いをすることになりますので、正しい知識を持って楽しくやるべきだと思います。
私の周りにも山歩きが好きな人が多くいます。自然とともに体を動かすことの喜びや楽しみは愛好家にとってかけがえのないことのようです。ところが魅力であるはずの自然は時として脅威として襲い掛かることもあり、場合によっては命に関わるケースもあり、ニュースで報じられることも少なくないのが現実です。
本書の良さは筆者の経験と研究から登山のリスクと向き合いそのために必要な体作りをわかりやすく指導されているところにあります。「一生、山に登る」というタイトルの通り、体力に不安がある高齢者にもできるというのが中心的なテーマになるのですが、体づくりの必要性を理解するところから本書は始まり、体力の下地ともいうべき体の安定性を身につけるための柔軟な体づくりをすることへと続きます。我々にすれば一にも二にも筋力をつけてと考えがちですが、筋力の前提条件からスタートするあたりは研究者の面目躍如といったところでしょうか。
体力(筋力)づくりも、基本編と、登山の特性を説明したうえでの実用編と段階を踏んでいます。そこから登山に欠かせない持久力。さらには水分補給や筋肉をつくるための栄養素の話まで登山のすべてがこの一冊に網羅されているのではないかと思うほどでした。もちろんトップレベルの登山は別として、一般人が自分の楽しみとして行う登山としては十分な内容だと思います。
高齢者の割合が高くなりつつあるわが国でどうやって健康を維持し、長く健全な生活を送れるかが社会問題となっています。とはいえやみくもに運動をしても危険なこともあります。本書で紹介されているトレーニングなどの情報は山に登らなくてもやっておきたいことばかり。高齢になっても健やかに過ごしたい人にはお読みいただきたい本です。そこから逆に山に興味を持ってもいいんじゃないでしょうか。
(辻田 浩志)
出版元:マイナビ出版
(掲載日:2023-03-20)
タグ:登山
カテゴリ 運動実践
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