変形性股関節症は自分の骨で治そう! 人工関節をえらぶ前によむ本
井上 明生 大川 孝浩 永井 良治
昨今、中高齢者による運動・スポーツへの愛好家が増えている。いつまでも若く元気でいたいという思いから、ウォーキングなどの軽い運動のみならず、山歩きといった本格的なスポーツまで楽しんでいる方も多い。しかし、その一方で、運動やスポーツをやりたくても膝や腰や股関節が痛くて歩くことも困難という人もいる。
本書は、変形性股関節症という股関節の痛みに悩んでいる方たちに向けて書かれている。医学技術が飛躍し、20世紀後半には「世紀の手術」と言われるくらい股関節疾患の患者さんたちに人工股関節置換術は恩恵をもたらしたと著者は言う。しかし、本書では人工股関節置換術をすすめているわけではない。著者の信念の1つは「移植医療は医療の敗北」だと言う。いかにして股関節における移植医療、すなわち人工股関節置換術を避けるかに焦点を置き、代わりに「キアリ骨盤骨切り術」という方法を紹介している。この手術の適応、治療成績、限界など、患者の立場にたって、大きな文字で書かれている。最終的には患者の判断によるものだが、移植医療以外の対応を知っておくことは大事なことではないだろうか。
2008年12月5日刊
(田口 久美子)
出版元:メディカ出版
(掲載日:2012-10-13)
タグ:変形性股関節症
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:変形性股関節症は自分の骨で治そう! 人工関節をえらぶ前によむ本
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:変形性股関節症は自分の骨で治そう! 人工関節をえらぶ前によむ本
e-hon
高齢者の転倒 病院や施設での予防と看護・介護
Rein Tideiksaar 林 泰史
「転倒が高齢者の幸せを奪う病気の中心的なものの一つである」。高齢者のなかには、転倒によって人生(生活)の質の低下を余儀なくされている人が多くいます。現在、病院や介護施設だけでなく地域社会においても多くの転倒予防対策が講じられています。本書はRein Tideiksaarによる『Falls in Older Persons Prevention & Management』を日本の各施設が転倒予防対策を行う上での参考図書にと訳されたものです。
第1章では、転倒の影響について、転倒した本人に関すること、その家族からの視点、施設側からの視点に分けて述べられています。家族がどのように感じているのかという部分について書いているものは少なく、とても参考になりました。また施設のスタッフがどのように感じているのかと点については共感できる部分が多くありました。
第2章では転倒の原因と危険性について内的要因と外的要因に分け、詳しく説明されています。そのため、リハビリテーションを学ぶ学生にとっても転倒ということを知る上で参考になると思います。
第3章、第4章では臨床現場での評価や予防策について、転倒歴の記録内容(SPLATT)や行為・状況別動作遂行能力検査(POEMS)などを例にあげながら述べられています。第5章では環境整備について多くのイラストとともに紹介されています。
本書は日々の臨床と照らし合わせながら読むことができるため、新たな気づきを与えてくれる一冊だと思います。
(山際 政弘)
出版元:メディカ出版
(掲載日:2012-10-16)
タグ:転倒予防
カテゴリ 指導
CiNii Booksで検索:高齢者の転倒 病院や施設での予防と看護・介護
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:高齢者の転倒 病院や施設での予防と看護・介護
e-hon