極めに・究める・スポーツリハ
相澤 純也 塩田 琴美
充実の一冊。
表紙からして一般向けの情報量かなと読み進めると、私の勘違い。
序文でも書いてある通り“手に取りやすい読みもの”として実現されつつも、理学療法士やトレーナーとして活動する人にとっては、選手や患者と接する際の一連の流れが網羅されている内容である。
それは、クライアントと接する際の心構えの話だけではなく、症例を交えた解説では評価から運動処方まで記載されており、現場での参考になるものがいくつか載っていた。また、SOAPカルテの記載例があり、直後から既に書き方を参考にしているくらい、すぐ実践できる内容もある。
障害者スポーツに関わるリハビリテーションも内容にあり、まったく関わったことがない部分で新鮮な気持ちで読ませて頂いた。
うつ病を患っている方への「一時的な気分転換を目的とした運動は勧めるべきではありません」という一文を読んだときには、運動が健康の一助となると言われている世の中では、知らずに運動を頑張ってしまい、症状を悪化させてしまう可能性が大いにあると感じた。うつ病はスポーツの現場だけでなく、私が日頃勤める鍼灸院でも患っている方もいるので、その点に関する専門知識はさらに学びを深めないといけないなと気づいた。
クライアントとの出会いは、巡り合わせで、どんな方を担当するかは分からない。本書は、スポーツリハに関わる上での総合書となるもので、これからスポーツリハに関わる理学療法士、トレーナー活動をしたいアスレティックトレーナー、鍼灸師、あマ指師、柔整師が事前に読んでおくのに相応しい一冊である。専門書なのに読みやすいことから、学生のうちから読むこともおすすめできる。
「極めに・究める・リハビリテーション」シリーズということで、ほかに運動器疾患編なども気になるところである。
(橋本 紘希)
出版元:丸善出版
(掲載日:2021-03-22)
タグ:リハビリテーション
カテゴリ スポーツ医科学
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