カルチョの休日 イタリアのサッカー少年は蹴球3日でグングン伸びる
宮崎 隆司 熊崎 敬
スポーツは教育ではないと言われますが、スポーツを通じて学ぶこともあるわけで、一概にそうとも言い切れないように思います。教育は、その組織化の度合いによって定型的と非定型的とに区別されます。前者は、学校などの組織を指し教えるということが中心に行われ、後者では、各家庭や地域などで多様な教育(例えば躾、人付き合いなど)が行われます。本書を通して日本とイタリアの子ども年代のサッカー環境を比べてみて、定型的な日本、非定型的なイタリア、という感想を持ちました。
サッカーを遊びと捉えるか、教育と捉えるか。サッカーは遊びであり、あくまで自由な自己表現手段の一つと捉えるイタリアの考えは、眩しく見えます。一方、スポーツに取り組むことを道として考え、一意専心にとりくむ日本的な姿に美しさを感じるのも、捨てきれないように感じます。
スポーツと教育が結びつくことの弊害については、それは、教育というものの射程をどの程度に設定するかによって異なってくるのでしょう。
スポーツをどのように捉えるかは、もっと自由に、多様性があって良いのだと思います。
(永田 将行)
出版元:内外出版社
(掲載日:2019-03-27)
タグ:サッカー イタリア
カテゴリ 指導
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笑顔の習慣34 仕事と趣味と僕と野球
山本 昌
筆者の山本昌投手は実に記録に満ちた大投手です。実績から見ても50歳まで現役、32年間の実働と現役で中日一筋、219勝で殿堂入り、41歳でノーヒットノーランを達成されています。そんな山本投手が現役を引退して、セカンドキャリアを歩みながら現役時代を回顧しています。背番号にちなんで34個のエピソードがあり、丁度よい文章量で読みやすく構成されています。
32年間も現役を続けられた要因として、興味深い点を仰っています。それは、実はマイナス思考で緊張しやすい性格という点です。その不安を補うためにダンベルを毎日握って手首を鍛える小さな努力を継続しています。また、女房役である捕手のサインには首を振らなかったそうです。納得できなければ、あえてボールに外しています。それは、投手よりもバッターを間近で何試合も見ている捕手を信じているからです。そして、先発として序盤で打たれたとしても決して「投げない」(投げ出さない、あきらめない)と述べています。投げ出してしまうのは周りにいる選手にも失礼にあたります。何より一生懸命投げることが、219勝という結果につながっています。
また、出会いの大切さやピンチのときこそチャンスであったと回顧されています。入団後、なかなか選手としての目が出ずにドジャースキャンプに半年間参加した際、2人の恩師に出会うことができ、ここからブレークされています。
そして興味深い話として、強いチームの条件は、よい選手がよい習慣を行うと述べています。2016、2017、2018年とセ・リーグを3連覇した広島東洋カープの強さは、チームの土壌にあると解説されています。
また、それは落合監督時代に無類の強さを誇った中日ドラゴンズも同様です。ドラフトでよい選手、つまり「苗」を取ってきても、それを育てるチームである「土壌」がよくないとよい花は咲かないというたとえは納得の話です。
この話を読みながら、私もかつて優勝争いをしていた在阪球団の体力測定イベントのスタッフで施設内を見学したときに、大ベテランの選手が若手選手に交じって精力的に汗をかいていたのを思い出して腑に落ちました。
この書籍は、現役のアスリート選手やビジネスマンに読んでほしい一冊です。本書では、現役時代を振り返ってセカンドキャリアにおいて何が大切かについて述べられています。アスリートには必ず引退が訪れます。きっと、現役時代の経験を活かすヒントが見つかると思います。
(中地 圭太)
出版元:内外出版社
(掲載日:2020-04-09)
タグ:野球 投手 セカンドキャリア
カテゴリ 人生
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