生命の文法
中村 桂子 養老 孟司
叢書「生命の哲学」の1巻。
『ゲノムを読む』などの著書で知られる中村氏と解剖学者であり、『唯脳論』で知られ多方面で発言している養老氏の対談をまとめたもの。
DNAの二重らせんを発見したワトソンが、「あなたの生涯で最大の業績はなんですか」と聞かれて、『二重らせん』という本を書いたことだと言ったとか(中村)、「私は、生物物理学というのはあったらおもしろいな、と思っているんです。
人間の身体を本当に古典力学的に調べようと思ったら、けっこうたいへんなんです。
関節にどれだけの力がかかっている、とか、あるいは筋肉が分子の関わり合いで発生した力学的力を、どういう形で最終的にマクロな運動までもっていくかとか、実は誰もまじめに調べていないんです」(養老)など、楽しく、重要な話が続く。
副題通り、生命と情報がメインテーマだが、読み進むうちにとんでもなく面白い時代になってきたとワクワクさせられる。
対談なので気軽に読め、編集部による注も随所にあり、2回の対談ではあるが中身は濃い。
中村桂子、養老孟司著 B6判 162 頁 2001年3月1日刊 1900円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:哲学書房
(掲載日:2001-11-25)
タグ:対談 生命科学
カテゴリ 生命科学
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マンガ分子生物学 ダイナミックな細胞内劇場
萩原 清文 谷口 維紹 多田 富雄
生命の本質が分子であるということを本書を読んで初めて知った。その事実を知るということを、私は避けてきたのかも知れない。なぜなら分子というものが、筋肉や骨、内臓のように見て触れることができないもので、存在感を感じないからだ。しかし、本書を読むことで私たちの身体の成り立ちは分子の集まりだということを改めて理解することができた。
治療やトレーニング、リハビリなどのトレーナー活動をするに当たり、なぜそれが効果的なのかを理解するには、解剖学以前に目に見えない部分で何が起こっているのかが大切になってくる。そもそも、理由もわからないのにトレーナーとしてクライアントの身体に対する行為を漫然と行うのはよくない。しかし、見えない部分を学ぼうと思っていても、取っ付きにくいのが正直な思いだ。
本書は、分子生物学という分野を取り上げている。細胞、DNA、タンパク、病気の仕組みから治療方法などをマンガを使って説明しているので、物語として頭に入ってきやすい。あっという間に読めてしまう一冊である。正直言うと物足りなさもある。マンガのまま、身体について学びたい思いが強くなる。もっと続きが読みたいぐらいだ。
文章だけで学ぶ教科書、参考書はどうしても想像がうまくできない。そんなとき本書が、分子生物学や身体にまつわる知識について、わかりやすく解釈するヒントとなる。この本を参考にして、自らの知識を、マンガや物語にしてみるのも面白そうだ。理解力と表現力が試されそうである。
本書をお勧めするには、医療関係の方では簡単すぎて物足りないかもしれない。なので、そもそも遺伝子に興味があって学びはじめの方、あるいは分野を掛け離れて学び方、伝え方を変えたい方。そんな方々が読むことで、何かきっかけをつくれるのではないかと思える一冊である。
(橋本 紘希)
出版元:哲学書房
(掲載日:2016-06-04)
タグ:分子生物学
カテゴリ 生命科学
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