ベンチ裏の人間学 監督達の戦い
浜田 昭八
本作はプロ野球の名監督7人(長嶋茂雄、仰木彬、星野仙一、大沢啓二、川上哲治、藤田元司、鶴岡一人)にスポットを当てている。著者である浜田昭八氏は、デイリースポーツ、日本経済新聞社の記者を経て、現在スポーツライターとして活躍している。豊富な取材体験から書き留められた文章には、称賛だけでは決してなく、ありのままの人間像が描かれている。采配の是非、フロントとの戦い、スター選手や不満分子の扱いなど、監督の仕事がいかに孤独であり、智力、体力、気配りが必要であるかを感じさせる。
「あの時代はあんなことがあったな…」と歴戦を振り返りながら、当時は決して表に出なかった監督の心情と照らし合わせて楽しめる一冊である。
(水田 陽)
出版元:日本経済新聞社
(掲載日:2012-02-17)
タグ:野球 ノンフィクション 指導
カテゴリ 人生
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モチベーション入門
田尾 雅夫
トレーニング指導をする際に、必ず話すことがある。「私に言われたから、受身でやるのと、自らが強くなりたいと思ってやるのでは、同じプログラムでも効果は大きく違ってくるよ」と。逆に言えば、選手がその気になってくれれば指導の90%は終わったようなものだ。
いかに選手のモチベーションを上げるか? そればかり考えているつもりだった。しかし、モチベーションについてあまりにも無知だったということに、この本を読んで気がついた。
モチベーションとは何か? 「モチベーションとは意欲です。意欲には目的が欠かせません。何か得たいもの、したいことがなければ、動機付けられて何かをしようという気持ちになれないものです。欲しいという気持ち、動因と、欲しいという気持ちを起こさせるもの、誘因の2つの要因のどちらもあることが、動機付けの不可欠の前提です。この2つの要因をどのように組み合わせるかが、モチベーションの考えの基本です」
アメとムチの論理についても、知らなかった。どうしてもこの「外」の論理が好きになれずにいた。人間はもっと賞罰がなくても頑張れる、そうなってほしいと思っていた。そう内発的動機付けによっても人はモチベーションが向上すると言う。そういった「内」の論理があることを知り、思わず頷く。
サッカー元日本代表監督のオシムは、モチベーションを上げるのに賞罰を与えることを嫌い、こう話す。
「モチベーションとは、選手に自分が考えるきっかけを与えることだ」
そして、前楽天監督の野村克也は、こんな風に言う。
「ナポレオンは、人間を動かす2つのテコがある。それは恐怖と利益であると言った。私はこの2つに尊敬を加えたい。リーダーは利益と尊敬と、少しの恐怖で組織を動かしていくべきで、その潤滑油がユーモアだ」と。
(森下 茂)
出版元:日本経済新聞社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:モチベーション
カテゴリ 指導
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日曜日のサイエンス読本
日経サイエンス
日本経済新聞社発行の「日曜日読本シリーズ」の1冊。今や科学雑誌たけなわであるが、それほど科学は日常生活に背理、ウカウカしていると、電車の切符を買うのもどうすればよいのかわからなくなりそうである。コンピュータや遺伝子工学などがマスコミを通じ喧伝されると、とくに科学を専門としない人は不安を感じるかもしれない。しかし、専門書は難しすぎるし、一般向けに書かれたものは結局よくわからない。高度な科学を誰にでもわかるよう説明することは大変難しいことである。
そこで本書。「日曜日読本シリーズ」という命名はうまい。日曜日(でなくてももちろんかまわないが)にゴロッと寝て読んでも結構面白い本だ。内容は、今話題のものばかり。列記すると、マイコン、光通信、レーザー、水素革命、LSI、太陽電池、バイオテクノロジー、プレート・テクニクス、ブラック・ホール、ストレスと脳、そしてスポーツ科学の計11章から成る。スポーツ科学の章は、特別新しいことは書かれていないが、最近のスポーツ科学の成果の要点がうまくまとめられているともいえる。むしろ、1冊の本として現代科学全体を知り、スポーツと科学について、ふと思いを馳せる意味で、気軽に読めてまた面白く、頭に入りやすいといえる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日本経済新聞社
(掲載日:1982-10-10)
タグ:科学
カテゴリ スポーツ医科学
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