美容と東洋医学 人間美と健康美の原点
王 財源 大形 徹
はるか昔から、ひとは美を追求してきた。
医学という範囲からは、逸脱したもののように扱われることが多いが、本来、美と健康は相補的な関係にある。古典を軸に、東洋医学で取り上げられてきた美について遡及的に考察する本書。ホリスティックな視点から、ひとを捉え、とかく局所的になりがちな現代医学や、それに馴染んだ現代人に、異を唱えるような本は珍しくない。しかし、美について、医学や健康と同じ文脈で語られることは少ない。
美容や整容は、QOLの向上に寄与する。顔は明るく、意識は溌剌として、ものごとに意欲的になる。
いつもばっちりお化粧をしてくる方や、身だしなみに気を使っている方の日々の活動性は高い、と普段の患者さんのことを鑑みて思う。反対に、整容や服装の乱れは、注視すべき項目でもある。
本書における美、というか、古くから考えられてきた美は、外形的なものだけにとどまらない。ひとが目指すべき理想や、精神性までをも射程に収める。
日頃目にする、まるで老いることを悪であるかのように喧伝するアンチエイジング的な視点には違和感を持っていた。
自然であるはずの老に美を見いだせないのは、人工的なものに囲まれた現代人の不自然さを示しているようにも思える。
(塩﨑 由規)
出版元:静風社
(掲載日:2022-10-25)
タグ:美容
カテゴリ 東洋医学
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