うおつか流 台所リハビリ術
魚柄 仁之助
うおつかファンのひとりである。『台所リストラ術』から、今度は『台所リハビリ術』である。副題は「脳をみるみる活性化させる生活改善講座」。ふと、これは言いすぎかと思うが、改めて考えるとこれでよいことがわかる。
この本にも書かれているが、まだ何とか自分で食べることができる人にチューブをつけると、とたんに目から生気が失われるとか。自分で食べる、はたまた自分が食べるものは自分でつくることの大切さを忘れていることが多いのではないか。いつも誰かがつくってくれるものを食べるのは「恵まれている」ことかもしれないが、生きるという意味でははなはだ頼りない。
魚柄さんは、料理をつくっている人、たとえば飲み屋のおやじさんやおかみさんは、歳をとっても元気なことを発見し、料理がリハビリになることに思い至る。軽い筋力トレーニングでもあるし、ストレッチでもあるし、何より段取りが料理のできを決めるので、頭(脳)を働かせることになる。
魚柄さんは『ひと月9000円の快適食生活』という本で有名になったが、今は7000円でできるそうだ。でもカツオ節はちゃんと自分で削って使う。新しくて、うまくて、安くて、からだにもよい。そういう料理である。また、包丁を自分で研ぐことも挙げ「こういった手の感触や勘ってボケないためのリハビリなんスね」と言う。健康も長生きもみんな基本はここにあるだろう。
2005年5月9日
(清家 輝文)
出版元:飛鳥新社
(掲載日:2012-10-09)
タグ:リハビリテーション 食 料理
カテゴリ 食
CiNii Booksで検索:うおつか流 台所リハビリ術
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:うおつか流 台所リハビリ術
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うおつか流 台所リハビリ術
魚柄 仁之助
毎日の台所仕事を脳の活性化および老化予防という視点から改めて見直し、長い人生を無理なくボケずに楽しみながら食生活習慣の知恵を、笑いという味付けとともに紹介したのが、この“うおつか流台所リハビリ術”。
料理をする上で必要とされる能力は脳を活性化させる。台所リハビリ術で紹介するその能力とは、思い出し力、想像力、準備力、段取り力、決断力、調理力、もてなし力。日常ごく当たり前にする炊事は、お年寄りが今の機能を失わないようにしながら、この先何があってもひとりでまかなえる力をつける。私たちにとってもメンタルトレーニングとして、料理は手軽な手段だと思った。
これらの力の中で、私が魅力に感じたのが「もてなし力」。人に見られる仕事、人をもてなす仕事をしている人は、心に張りがある。その張りがその人を前向きにさせる。そして、人をもてなすことで自分も癒されると作者は考える。そう思うと、料理は本当に幸せなリハビリだ。 リハビリというと、病院でセラピストやトレーナーの下、目的とする機能回復のために機器を使い、個別で特別なプログラムを行うことと、多くの人は認識しているだろう。落語調で軽く書かれたこの本を読むと、そんなに難しいものではないなと再認できた。病気で倒れてからリハビリではなく、倒れる前の日常でリハビリすることで倒れずに済む。この本で提案されている台所リハビリは、まさにそれである。
(服部 紗都子)
出版元:飛鳥新社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:リハビリテーション 料理
カテゴリ 食
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