スポーツ文化の脱構築
稲垣 正浩
私は「脱構築」という言葉を知らなかった。まずは脱構築とは一体何なんだろうかということを想像してもらいたい。しかしながら多くの人の想像は当たらないだろう。いや当たっているとも当たっていないとも言い切れないのかもしれない。
本書では、一語をとても大切に扱っている。ひとつの言葉、その中に含まれる概念を定義づけするために、様々な書物を紹介しながら脱構築の説明を加えていく。さながら社会学の授業を受けているようであった。私は気楽に読みたい読者にこれを薦めない。しかし、物事の通りや順序に関心があり、自分以外の論理性の構築手法を受け入れる寛容性がある人には読んでもらいたい。
著者稲垣氏はスポーツ史、スポーツ人類学者である。なぜ彼は現代思想家のJ・デリダの考え方を学び実践しようとしたのだろうか。私にはそこに興味を覚えた。きっとそれぞれの経験に思い当たるようなことや、ハッとするようなことが読み進めるうちに増えていくことだろう。
(勝原 竜太)
出版元:叢文社
(掲載日:2013-04-17)
タグ:スポーツ史学
カテゴリ その他
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