ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
信頼する力 ジャパン躍進の真実と課題
遠藤 保仁
南アフリカW杯からザックJAPANへ移り行くまでの、サッカー日本代表チーム、遠藤保仁選手の状況が記されている。どんな監督が信頼できるのか、個人がどう行動すればチームがまとまるのか、どうすれば日本のサッカーが進化するのかといったことがテーマとなっている。
多くのサッカー評論家が語る話だが、現在も日本代表の中心として試合で活躍する遠藤選手が書いたとなるとリアリティが増す。そう感じるのがサッカーファンとして本書を読んだ私の感想だ。今後の日本サッカー界を選手として、また引退後でも、どう引っ張っていくのか期待が膨らむ。
一方、トレーナーという立場から読んだ私は、本書から選手の気持ちを学ばせていただくことができた。どれについても選手の本音が書かれているのが見どころだ。試合に挑むメンタルマネジメント。真実と報道のギャップ、それに躍らされるサポーター。高地トレーニング。ウォーミングアップ。向上心を持つ選手の考え方。スポーツに携わる者として気になるキーワードが満載で、それを選手の主観的な感想で聞くことができるのは貴重である。トレーナーとしてチームの一員となったときをイメージしながら読むことができた。もちろん、他の競技に通ずるものがあるということは言うまでもない。
サッカーファンのみならず、競技者含め、スポーツに関わる者にはぜひ手にとっていただきたい一冊である。
(橋本 紘希)
カテゴリ:その他
タグ:サッカー
出版元:角川書店
掲載日:2013-05-14