ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
日本人の足を速くする
為末 大
本書の第一章にある「何万回、何十万回と着地する中で、地面に着いた足の上に骨盤が乗り込み、股関節のあたりに地面を踏んだ感触が直接に伝わってきて、体がスムーズに前に進んでいく感覚をつかんだのです」という一文に、著者である為末氏の探求が始まった瞬間の感覚がよく表れています。
日本人がフィールド競技では勝てないと言われている中、日本人の体型や精神的な特徴を考慮した上で、「どうやったらうまくいくのか、自分の頭で考え、工夫を凝らし、イメージして、体をコントロールする。その過程で能力が開発され、さまざまな状況に対応する力が伸びていくのだと思うのです。」と本書の中にも書いているように、勝つための戦略をつくり上げ、そして自身がメダルを獲得することができたレースへの攻略法を書き記した一冊です。
(大槻 清馨)
カテゴリ:身体
タグ:陸上競技
出版元:新潮社
掲載日:2013-05-21