ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
育ての流儀 個性を磨き、大きく伸ばすコーチング
乾 眞寛
本書には歴代の福岡大学サッカー部の選手を例に出して、どのように指導をしてきたのかが書かれている。「指導」といっても100名の選手がいれば100通りの指導法があり、誰にでも同じように接するわけではない。
たとえば、全日本大学選抜チームに選出されるような選手は、常に「自分がどんなことをしたら、ワンランク上のレベルに達するのか?」を考えているため、課題を与え続けるとのこと。ただし課題を与えるにもタイミングが重要で、選手自身が壁にぶつかっていることが、その条件になる。
選手自身が、「本気でプロサッカー選手を職業とすることを目指す」ということを発するまで、プロを目指すための指導は行わない。
もちろんプロサッカー選手を目指すことだけに価値があるわけではない。同チームでは、最終学年までサッカーと学業の両立に取り組んできた選手は1名だけ、1軍のリーグ戦後半に出場することができる。どのような実力であっても、1年生の頃から取り組み続けたことを評価し、観客動員の多い1軍の試合に出場し、輝く機会を用意するのである。その選手が出場するときは、チームからの応援は、その日一番といってもよいくらい盛り上がる。
自身も大学サッカーに関わる身として、福岡大学サッカー部がどのようなチームなのか非常に興味があった。また、サッカーに身を置く人でなくとも、本書は「人」に関することに重点を置いて書かれているので、読む価値のある一冊と言える。
(平松 勇輝)
カテゴリ:指導
タグ:サッカー
出版元:スタジオタッククリエイティブ
掲載日:2013-05-30