ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
スポーツトレーニングの心理学
R.N.シンガー 松田 岩男
昔、レオナルド・ダビンチという偉人がいた。今でいえば、美術も科学も医学も、彼は広範囲において天才を発揮した。各分野が専門分化していく今日、彼の偉業を再現することは一個人、いかなる大天才にとっても不可能であろう。世にいうマルチ人間でも、その水準で事をなしていくのは困難なはずだ。
スポーツ心理学も例外ではない。「他の書物を分析した結果、私はこの領域に関する最も包括的な本を書こうと思いたった」(序文より)と記されている通り、スポーツと心理学について、1968年初版、1975年改訂第2版、そして1980年にその第3版が出されたものの翻訳本が『スポーツトレーニングの心理学』(R.N.シンガー著、松田岩男監訳、大修館書店)である。
日本語版への序文から察するところ、これは初版翻訳の次の翻訳となり、その改訂の意味は極めて大だろう。著者が「話題は興味深く、エキサイティングですらある──少なくとも私には」と記されている通り、そもそも学問はエキサイティングなところがあるべきなのだ。スポーツ心理学の体系を知るために、この1冊はありがたい1冊といえる。なお、原題は“Motor Learning and Human Performance”であり、著者はアメリカ・フロリダ州立大学教授、国際スポーツ心理学会会長である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
カテゴリ:スポーツ医科学
タグ:スポーツ心理学
出版元:大修館書店
掲載日:1986-10-10