ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
察知力
中村 俊輔
中村選手がサッカーを始めたのは、幼稚園の頃。以後25年以上、サッカー一筋に追い続けてきた。日本だけでなく海外に出て行き、数々の壁にぶち当たる中で、彼がとくに重点をおいてトレーニングしたのが「察知力」。少し前の女子高校生の言葉“KY(空気読めない)”、それを改善する力だという。
具体的な社会でいえば、思うようにいかないことにぶち当たったとき、原因を解明する力。上司から自分が求められていることを考える力。目標へ到達するためにやるべきことを追求する力。
彼にとっては、自分より能力が高い選手と戦うとき、相手よりも先に動き出すため、瞬時に状況判断をして正解を導く力。それを「察知力」と呼んでいる。彼はその能力を、情報収集とさまざまな経験を通し、自分の中に引き出しを増やすことで高め、ノートに書いて整理することで磨いてきた。
ケガ、代表離脱、海外進出、多くの挫折と挑戦の中で“一生サッカーを追いかける”ために常に100%で生きる強い精神力、闘争心、統率心。この本は、彼のノートに書かれた心身鍛錬術の要点をまとめたものかもしれない。
(服部 紗都子)
カテゴリ:人生
タグ:サッカー
出版元:幻冬舎
掲載日:2013-09-25