ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
歩き始めと歩行の分析
江原 義弘 山本 澄子
“二足歩行”という移動手段は、非常に特徴的で複雑なものである。もちろん人間にはその他さまざまな動きが可能であるが、基本的動作能力(寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・立位保持・歩行)にも含まれる通り、歩行は人体がつくり出す動作の基本である。そして、これが正しく行えるかどうかで、その他の動作・活動に大きく影響が及ぶのである。高度な身体運動を必要とするスポーツ活動において、「正しい歩行が行えるかどうか」が大きく関わってくるのも当然である。
本書では、“歩き始め”を含め、歩行に関する人体のメカニズムを力学的見地から説明している。一般的に行なわれている動作観察では、身体の部位の位置変化を眼で見ることはできる。しかしそれ以前に、各部位へどのような力が加わり、重心がどう動き、どこの筋肉が収縮することによってその動きが起こっているのかは目に見えない。そこを力学的にわかりやすく説明してくれているのである。歩行というものをしっかりと理解したいとき、大変役に立つはずである。
(宮崎 喬平)
カテゴリ:スポーツ医科学
タグ:歩行 バイオメカニクス
出版元:医歯薬出版
掲載日:2012-06-04