ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
133キロ怪速球
山本 昌
現役のプロ野球選手、山本昌は、自らの野球人生を「悔いがある」と語る一方で、「1回きり」の心構えで過ごしてきたからこそ成功したともいう。
著者は、若いころ戦力外通告におびえながら選手生活を送ってきた。選手生活を通して、自らの持つすべての力を引き出して日々を過ごし続けてきたことが、やり直しがきかないプロ野球の世界での成功を導いた最大の要因であると語る。
成功するためには、運も必要であり、自分ひとりの力たけでは不可能である。成功を望む人が知りたい、うまくいく人といかない人との差はどこにあるのか。チャンスをつくるための準備には何が必要か。到来したチャンスを逃さないためにはどうしたらよいのか。といった様々な疑問をプロ野球の世界を通して語られている。
決して才能に満ちあふれ、期待された選手ではなかった。その証拠に、一年目に登板すらできなかった史上初の200勝投手でもある。どこにでもいる野球少年が、最年長完投記録をはじめ、様々な最年長記録ホルダーという、息が長い特別の投手になった理由に「鏡」「時間」「好き」「階段」「なじむ」「観察力」「平均点」といったキーワードを挙げる。それらのキーワードを掘り下げ消化することで、読者が生きていく上の知恵、道標となるに違いない本である。
(服部 哲也)
カテゴリ:人生
タグ:野球 投球
出版元:ベースボール・マガジン社
掲載日:2014-03-06