ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
走りながら考える 人生のハードルを越える64の方法
為末 大
本書は侍ハードラーという異名を持つ為末大氏が25年の競技人生の中で考え、悩み、実践してきたことが赤裸々に書かれている。
陸上の世界選手権のトラック競技(400mハードル)で、2度のメダルに輝いた同氏だが、競技人生の中では数々の挫折も経験している。彼の「挫折」の捉え方は非常に面白く、「挫折があるからこそ感じる本当の喜びと優しさもある」と本書で語っている。人生は思い通りにいかないことがほとんどであり、努力は報われないことが多い。頑張った人が成功するわけでもなく、それでも人は懸命に生きるしかない、と。エリート・アスリートである著者が放つ、これらの言葉は、私たちに元気を与えてくれる。
考えすぎて動けない人が多い中で、「走りながら考える」というタイトルは、陸上競技選手、為末大をうまく言い表しているなと思う。その一方で、競技をしながらも陸上競技の先に何をしたいのかを常に考えていた著者には、1歩先、2歩先を「考える力」があったのであろう。
今まさに競技人生の中で戦っている人はもちろん、ビジネスパーソンにも一読の価値がある。
(浦中 宏典)
カテゴリ:人生
タグ:陸上競技 人生
出版元:ダイヤモンド社
掲載日:2014-03-12