ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
幸せな挑戦 今日の一歩、明日の「世界」
中村 憲剛
「挑戦を続けていくこと。挑戦を続けられること。それだけでも幸せなんだと、僕は思う」
この本の書き出しの言葉、彼の人となりが現れている。あっという間に彼の話に引き込まれた。
高校までクラスで一番小さな子で、足も遅く、相手チームの選手とぶつかればはじき飛ばされていたようなか弱い選手だったという。身体的なハンディを持っていながら、彼は常に選ばれた。そして、25歳のときに日本代表に選ばれるまでになった。
なぜ、彼は選ばれる存在になることができたのか。小学校から今までの彼の生い立ちとその時々の教訓を述べたこの本には、革新的な方法が書いているわけではない。本気で好きなことは何か、それを極めようとする覚悟があるかどうかを、まず自分で考えることが第一歩だという。そしてそれを見つけたら、どこまで本気になれるか。人が彼を選んだ理由はここにあると思う。サッカーが好きで好きで、諦めずに続けた。その思いが行動につながり、選ばれる存在になったのだ。
さまざまな壁を乗り越えてきた彼がこの本を通して伝えたいことは、「サッカーが好きだからボールを蹴っている」、そんな純粋な気持ちを大切にして欲しいということ。本気で好きなことを愚直なまでにやりつづけた先に明るい日が昇る。
サッカー好き、中村憲剛ファンはもちろん、今後を考える人にぜひ読んでもらいたい一冊だ。
(服部 紗都子)
カテゴリ:人生
タグ:サッカー
出版元:角川書店
掲載日:2014-09-05