ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
センターバック専門講座
秋田 豊 田中 滋
本書はサッカー元日本代表、秋田豊氏の著書で、秋田氏が務めたセンターバック(CB)のプレー方法を記したものである。
とくに強調しているのが、ヘディングである。多くのヘディングは額の中央でボールを捉えるようにと指導するが、秋田氏の考える効果的なヘディングは独特で、眉間でボールを捉えるというのである。それができれば、ゴールキックをヘディングで応酬し、キーパーまでボールを返すことも可能であったとのこと。
また、効果的なヘディングをするためのポジションの取り方についても記載がある。身長が高い選手には助走をつけて対応、ボールに飛び込んでシュートを狙ってくる選手にはコースを塞ぐ、あるいはわざとキーパーの正面にしかシュートを打てないようなコースにおびき寄せるなど、サッカー選手であれば当たり前の内容かもしれないが、どんな風に自分の狙いとするプレーをするかという方法論が非常に細かく書かれている。
ほかにも、ポジショニングのときに手を使うという記載もあった。もちろん、手を使ってポジショニングをすることは反則であるが、どのタイミングで手を使うと反則を取られにくいといったことも詳しく書かれている。姑息な手段のように聞こえるかもしれないが、厳しい生存競争の世界で生き残るために培った技術だと考えると納得がいく。
反則スレスレのプレーかもしれないが、サッカー選手そして指導者としての現場の視点から書かれたものであると考えると、非常に面白い。
(平松 勇輝)
カテゴリ:運動実践
タグ:サッカー ヘディング センターバック
出版元:東邦出版
掲載日:2014-10-16