ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
自重筋力トレーニングアナトミィ
ブレット コントレラス 東出 顕子
本書では、すべての負荷を自重のみで行ったトレーニングを紹介している。
自重トレーニングといえば、器具を必要としないため経済的で、場所や時を選ばない大変有効なトレーニングである。加えて、アスレティックリハビリテーションなどの初期段階でも導入されるほど、その安全性・信頼性は高い。
しかし、ジムに通うトレーニング愛好家にとって自重トレーニングは“地味で負荷が軽く物足りない”という印象が強いのではないだろうか? その疑問に対しても、本書の中で著者は“レップ数を増やすことで充分強い筋肉増強刺激を得られる”と説いている。
本書のつくりとしては各部位の解剖・動きの確認を確認し、その後に部位別、または全身の種目を順に紹介していっている。綺麗なイラストも描かれ見やすくなっているものの、残念な点がいくつか見られるのが惜しい。
まず、動きがわかりにくい種目があること、各種目の難易度がバラバラに記されていること、“レップ数を増加することで充分な筋肉への刺激が得られる”という最も注目すべきテーマを掲げたにもかかわらず各種目のレップ数の記載がこれといってないこと、最後に、冒頭部や各場面で安全面への配慮を呼びかけているものの種目によっては自宅で実行するにはおおむね難しい種目もあり、読者本人も何が実行可能なのか見極めてから行う必要があるという点である。
自重トレーニングの可能性を広げてくれる一冊であることは確かだが、自重トレーニングの要所である安全性やレップ数増加に対する配慮がもう一つ欲しいところである。
(藤井 歩)
カテゴリ:トレーニング
タグ:自重トレーニング
出版元:ガイアブックス
掲載日:2015-06-10